印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

PROJECT

企画展「白市DNA」展 2003 旧木原家住宅(東広島市白市) 2003年9月20日(土)~10月13日(月・祝)

[展覧会コンセプト](本文は2003年の展覧会開催時に配布した資料からの転載)

 


作品解説・所感原稿用紙①(参考)

[ 作品名:  REALITY   OF   FAMILY  ]  

「東広島現代美術プログラム2003白市DNA」に寄せて
 
「白市」という町は、500年の古い歴史を持つそうですが、その500年前も現在も、そして500年後も連綿と続くであろう「命のつながり」、これが作品のテーマです。
 
 ある時、私は自分の家の家系図を見る機会がありました。当然のことながら、私には父と母がおり、その父と母にもそれぞれ父と母がいて、その父と母にも・・・考えるときりがありません。私たちは日々の生活に追われると近視眼的になりがちですが、多くの祖先がいて、初めて自分が存在しているという事実に改めて驚かされます。私たちは好むと好まざると、そういう過去の記憶(DNA)を持って生れ、次の世代に引き継いでいきます。
 
 この『REALITY  OF  FAMILY』という作品は「FATHER」「MOTHER」「BROTHER」「SISTER」という4つの作品で一つの空間を構成しています。
『 REALITY OF FAMILY [ FATHER ] 』は「父なるもの」、『 REALITY OF FAMILY [MOTHER] 』は「母なるもの」をそれぞれ表しています。「生きる」ことの実感を見失いがちな現代に、改めて人の強さ、たくましさ、豊かさを再認識し、それを象徴するような、大きくゆったりとした形で表現しています。また『REALITY OF FAMILY [BROTHER] 』と『 REALITY OF FAMILY [SISTER] 』は「子どもたち」を表しています。一般的な日本人の名前を男女別に並べています。(あなたの名前はありましたか?)
 この作品は、たとえ時が過ぎても変わらない(あるいは変わらないでほしい)親子や家族の愛情を表現しています。タイトルにある「REALITY(リアリティー)」という言葉は「実感」あるいは「現実感」という意味です。この言葉を使ったのは、本当は大切にされなければならない「生きる実感(REALITY OF LIFE)」という感覚が、特に現代では希薄になっているように感じるからです。最近の戦争や事件のニュースを見ても、どれだけの「REALITY(リアリティー)」を持って私たちはその映像をみているのでしょうか。9.11の事件が起きた時、「まるで映画のようだ」とはよく聞かれた言葉です。バーチャルな世界とリアルな世界の境界線は、知らず知らずのうちに私たちのなかで曖昧になってきつつあり、これはとても恐ろしいことです。
 情報化がますます進むであろう今後の世界に対して、「生きる実感(REALITY OF LIFE)」は、私たちにどうしても必要な感覚であるように思います。そしてそれは、私自身 にとっても、彫刻制作を通して考えていきたい重要なテーマです。
 以上のことをふまえ作品を見ていただき、そして少しでも共感いただけたとしたら、制作者としてこんなにうれしいことはありません。

 ○作品解説・所感原稿用紙②(参考)      
[ 作品名:  REALITY   OF   LIFE  AND  DEATH (Ver.4)]

「東広島現代美術プログラム2003白市DNA」に寄せて
 
 この作品も基本的に①と同じように「命のつながり」あるいは「生きる実感(REALITY OF LIFE)」をテーマにした作品です。
 これは牛の頭の骨をモチーフにしています。骨というとどうしても「死」を連想させてしまいますが、普段意識していなくても私たちの誰もが骨を持っています。そう考えると骨は「生」の象徴でもありうるのです。
 改めて見ると骨はとても有機的で魅力的な形をしています。人間にも様々な顔かたちがあるように牛骨もよく見るとひとつひとつ違います。今回モデルにした牛は、鼻や口の先端部分が長く、まるで流線形をしたスポーツカーのような形をしていました。
 自然の形は無駄がなく、それだけで十分美しい形をしたものが多くあります。その自然の美しさに近づきたくて、この作品を制作しました。

◆「東広島現代美術プログラム2003白市DNA」出品作品リスト

○1階
『REALITY  OF  FAMILY』
  ①『 REALITY OF FAMILY [ FATHER ] 』
                      H220×W100×D80cm    (石膏、鉄、枕木)2001年
  ②『 REALITY OF FAMILY [MOTHER] 』
                      H220×W100×D80cm    (石膏、鉄、枕木)2001年
  ③『 REALITY OF FAMILY [BROTHER] 』
                      H5×W100×D300cm     (セメント)2001年
  ④『 REALITY OF FAMILY [SISTER] 』
                      H5×W100×D300cm     (セメント)2001年

○2階
『REALITY   OF   LIFE  AND  DEATH (Ver.4)』
                   H40×W90×D100cm     (楠、鉄)2003年

前ページに戻る

TOP

WORKS

SCULPTURE
SOLO
PUBLIC
PROJECT

ACTION

PUBLICATIONS
WORKSHOP
LECTURE
STUDENTS 

BLOG

ABOUT

information
profile/contact
etc.
photo

LINK 

HITOKUWADA TORU OFFICIAL WEBSITE since 2016-02-29 / Copyright 2016 HITOKUWADA  TORU. All Rights Reserved.