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ここでは、 枚の顔画像のうちの 番目の画像を、各画素の値をならべた
次元のベクトル
として表現する。また、 枚の画像の平均ベ
クトルを
とし、各画像か
ら平均ベクトルを引いたベクトルを
で表し、各画像から平均ベクトルを引いた画像の集合を行列
で表す。
画像集合を平均2乗誤差の意味で最適に近似する正規直交基底 は、主成分
分析(KL展開)を用いて構成することができる。
まず、ある正規直交基底 が与えられたとき、ある画像
の の列の張る空間への射影
|
(3) |
は、平均2乗誤差の意味での
の近似になっている
[78]。画像集合を平均2乗誤差
|
(4) |
の意味で最適に近似する正規直交基底
は、
の共分散行列
の固有値問題
|
(5) |
の解として求まる[78]。ただし、 は固有値行列である。ま
た、 としては、固有値の大きさの順番に対応する固有ベクトルを 個ま
で取るものとする。こうして求めた固有ベクトル
は、固有顔
(eigenface)と呼ばれている[103,104]。
このとき、ある画像
に対する主成分スコア(固有空間での表現)は
|
(6) |
のように計算される。
の各成分は、画像
を表現するための
各固有顔の貢献度を表していると解釈できる。固有ベクトルの次元 を小さ
くすることにより、固有顔 とスコア
を用いて、もとの画像を
|
(7) |
のように低次元で近似して表現することが可能となる。
また、2枚の画像
と
が与えれた場合、各画像の主成分
スコア間の距離は、
|
(8) |
のように、もとの画像の の列の張る空間への射影(もとの画像の平均2乗
近似)間の距離と同じになる。したがって、顔画像の識別に画像の主成分スコア
間の距離を用いることは、もとの画像間の距離を の列の張る空間で近似的
に計算することに対応する。
また、行列の特異値分解の関係から、
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(9) |
のような固有値問題を考えると、固有ベクトルを要素とする行列 と と
の間には、
|
(10) |
のような関係が成り立つ。従って、画像の大きさ に比べて画像の枚数
が小さい場合には に関する固有値問題を解いて、それから固有顔 を計
算すればよい。一般には、画像の大きさ は学習に用いる画像の枚数 よ
りもかなり大きいので、 に関する固有値問題を解くことにより、必要な計算
量をかなり削減できる。
Kirby等[48]は、100枚の顔画像に対して主成分分析を行い固有空間の
次元を50次まで取れば 95% 以上の情報が復元できることを示している。また、
Turk等[103,104]は、16人の被験者から撮影した2500枚の顔画
像のデータベースを用いた認識実験を行い、向きや大きさが一定なら96%の認識
率を得ている。Pentland等[85]は、3000人から取った7562枚の顔
画像のデータベースを用い、128枚の代表的な顔画像から主成分分析により構成
した20次元の固有空間を用いた識別で、95%の認識率を得ている。さらに、目・
鼻・口などの部品に対しても固有空間を構成し、それらと顔全体の固有空間を組
み合わせてた認識により、98% の認識率を得ている[85]。
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平成14年11月18日