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数量化4類は、対人関係の定量的表現法の研究から林により考案された多変量データ
解析手法である。データとして個体 
 と個体 
 の類似性の測度 
 が与
えられた場合、似ているもの同士が近づき、似ていないもの同士が離れるように各個
体に数量を与え、その数量を用いて各個体をなるべく少ない次元のユークリッド空間
内の点として表すための手法である[47]。
集合 
 の要素 
 と 
 の類似性の測度として 
  | 
(93) | 
 
を採用し、これに対して数量化4類を適用することを考える。
 の定義から、この測度は対称性
  | 
(94) | 
 
を持つことがわかる。
この時、数量化4類は、平均と分散に関する制約条件
のもとで、評価基準
  | 
(97) | 
 
を最大とするような数量 
 を求める問題として定式化される。
評価基準 
 を最大とする 
 は、
 をLagrange乗数として、
  | 
(98) | 
 
を最小とすることにより求められる。これを 
 で偏微分して 
 とおくと、
  | 
(99) | 
 
となる。これを整理すると交差係数行列 
 に関する固有値問題
  | 
(100) | 
 
が得られる。この固有値問題の最大固有値 
 に対応する固有ベクトルは、制約条
件 (2.95) を満足しないので、2番目の固有値に対応する固有ベクトルが求
める 
 の解である。
数量 
 を 
-次元まで求めるには、固有値問題
![\begin{displaymath}[\Gamma -\mbox{\boldmath$p$}_\Omega \mbox{\boldmath$p$}_\Omega^T]X = P_\Omega X (I - H/2)
\end{displaymath}](img300.png)  | 
(101) | 
 
を解けばよい。ただし、
  | 
(102) | 
 
である。
この固有値問題は、まさに、非線形の数量化2類や数量化3類であらわれた固有値問
題と同じものである。従って、非線形の数量化2類や数量化3類で得られる数量 
 は、二つの集合 
 と 
 の確率的な関係を表す統
計量 
 を類似性の測度とする数量化4類
によって得られる数量と同じであると言える。
同様に、もし類似性の測度を統計量 
 と
して数量化4類を考えると、数量 
![\begin{displaymath}[\Gamma_\Theta - \mbox{\boldmath$p$}_\Theta \mbox{\boldmath$p$}_\Theta^T]Y = P_\Theta Y (I - H/2) .
\end{displaymath}](img304.png)  | 
(103) | 
 
の解となる。
 
 
   
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Takio Kurita
平成14年7月3日