さらに、対象の形によらない位相的特徴の計測実験を行った。ここでは、画面内の分 離した孤立対象の個数(図8.6 (a) 参照)や1つの対象の穴の数(図 8.6 (b) 参照)の計測を考えた。これらの個数は対象や穴の形に全く無 関係である。様々な形の分離対象を含む48枚の画像を学習データとして、重回帰分 析による学習を行なった。教師信号は孤立対象の個数とした。その結果、任意に与え られた画像に対して正しく分離対象の個数を推定できた。穴の数の計測についても同 様であった。
ここで、興味深いことに、結果としてシステムが学習した結合係数 が、位相数
学におけるオイラーの公式と関係していることが証明できたことである(付録 B 参
照)。ここで重要なのは、オイラーの公式をプログラムとしてシステムに教えたので
はなく、学習例から重回帰分析によりシステムが自動的に学んだ点である。
また、この場合には、平行移動だけでなく回転に対しても不変となっていて、画像を 画面内でどのように置いても正しく計測できる。