まず、全ての場合を調べ上げることが可能な比較的小さなデータを人工的に作り、提 案手法で得られた結果と最適解を比較した。表5.1が項目と関係者の 相反表である。この表をもとに、1日の許容会議数を4とし、4日間の日程表を作る とする。表 5.2および表5.3が最適解および各手法の結果である。
K-L展開による手法および数量化3類による手法は、表5.2では全く同 じ結果になっている。実際の分割は、表5.3 a) および b) のように 多少異なっているが、両者はかなり似た傾向にある。
タイの処理をしない測度 を用いる手法は、K-L展開による手法および数量化3類
による手法よりも良い日程表を作っている。タイの処理をすることによって、結果が
さらに改善され、最適解が得られている。また、Jaccard の Matching Coefficientを
用いる手法も最適解を与えている。
図5.1は延べ出席日数と可能な日程表の個数の関係を示したヒストグラ ムである。ただし、日程表の個数は、各クラスターを第何日に割り当てるかによって 生じる日程表の差を区別して数えている。この図から分かるように、延べ出席日数の 期待値は、約32日である。つまり、いい加減に作っても延べ出席日数がほぼこの程 度の日程表ができることになる。
図ではほとんど読み取れないが、最適解(タイの処理をした測度mを用いる手法、 JaccardのMatching Coefficientを用いる手法によって得られた日程表)と同等な日 程表の個数は24個である。つまり、各クラスターを第何日に割り当てるかによって生 じる日程表の差を無視すると、最適解は一通りである。タイの処理をしない測度mを 用いる手法により得られた日程表と同等な日程表の個数は4152個であり、K-L展開 による手法および数量化3類による手法で得られた日程表と同等な日程表の個数は 66648個である。これに対して、延べ出席日数32日の日程表の個数は3241512個であ る。これらの結果から、タイの処理をした測度mを用いる手法およびJaccardの Matching Coefficientを用いる手法は、非常に優れた手法であることが分かる。また、 K-L展開による手法あるいは数量化3類による手法で作られた日程表もまずまずの 日程表であることが分かる。
さらに、計算時間の点でも、直接最適解を求めるために、VAX-11/780で18時間近く の計算が必要であるのに比べ、ここで述べた手法の計算時間は2秒以下であった。