電子1個1個はScödinger方程式に従って運動し,その性質はよくわかっていますが,それが物質中で集団となったとき,全体としてどのような状態を作るかは,物質ごとに異なり,どうなるかはわかりません.実に多彩で,想像もしなかったような電子の秩序状態が形成されます.基本にあるのは,原子の配列と強い電子相関です.これに起因する近藤効果、多極子秩序、キラル磁性体におけるらせん磁気構造など、物質中の電子集団が創出する様々な現象を、極低温、強磁場、高圧下でのマクロな熱・輸送特性測定と、X線散乱・中性子散乱をフルに利用した高度な量子ビーム測定を組み合わせて研究しています。これらの物質の試料作製や、新奇な現象を示す新物質の探索にも取り組んでいます。学内外を問わず,大学院生(特に博士課程)を広く募集しています。

We study various kinds of interesting phenomena originating from electron correlations in condensed matters: Kondo effect, multipole orderings, helical magnetic structures in chiral magnets, etc. We study them by means of macroscopic thermal, magnetic, and transport properties at low temperatures, high magnetic fields, and high pressures, and also by microscopic methods of x-ray and neutron scattering. We grow samples for these experiments and also try to find new compounds exhibiting these interesting properties.

最近の研究から

磁場によって誘起される電荷秩序と反強磁性の不思議な関係 

立方晶充填スクッテルダイト化合物SmRu4P12で観測された磁場誘起型の原子変位と磁場と平行な長短反強磁性秩序.背後にP12分子軌道に生じた磁場誘起電荷秩序とSm-f軌道に生じた結晶場準位の交替型秩序があると予想される.当研究グループを中心に国内外の放射光施設と中性子散乱実験施設で行われた共鳴X線回折,偏極中性子回折,共鳴軟X線回折,磁気円偏光二色性の実験によって20年来の問題が解決された.これら先端的量子ビームの特徴を最大限に生かし切って得られた成果でもある.

"Isotropic parallel antiferromagnetism in the magnetic-field-induced charge-ordered phase of SmRu4P12 caused by p-f hybridization",
T. Matsumura, S. Michimura, T. Inami, C. H. Lee, M. Matsuda, H. Nakao, M. Mizumaki, N. Kawamura, M. Tsukagoshi, S. Tsutsui, H. Sugawara, K. Fushiya, T. D. Matsuda, R. Higashinaka, and Y. Aoki,
Phys. Rev. B. 102, 214444-1-11 (2020). LinkIcon

Gd化合物で見つかった新種の電子スピン秩序:スピン三量体のらせん秩序

磁性体Gd3Ru4Al12で形成されるSpin Trimer(スピン三量体,GdのS=7/2スピン3つが合成スピンS=21/2を形成したもの)によるらせん磁気秩序状態.当研究グループのメンバーを中心に行われた共鳴X線回折実験により,実証された.JPSJ Editors' Choiceに選ればれました.

"Helical Ordering of Spin Trimers in a Distorted Kagome Lattice of Gd3Ru4Al12 Studied by Resonant X-ray Diffraction",
T. Matsumura, Y. Ozono, S. Nakamura, N. Kabeya, and A. Ochiai,
J. Phys. Soc. Jpn. 88, 023704-1-5 (2019). LinkIcon

キラル磁気ソリトン格子の形成:極低温磁場下での共鳴X線回折による観測

Chiral磁性体Yb(Ni1-xCux)3Al9で実現するChiral Magnetic Soliton Lattice.ゼロ磁場でのらせん磁気秩序が磁場で強制強磁性状態に変化する過程で,局所的なねじれ構造が周期的に配列する非一様な状態が生じる.鏡映面と反転心をもたないキラル磁性体の特徴の一つ.当研究グループのメンバーを中心にSPring-8で行われた共鳴X線回折実験により実証された.

"Chiral Soliton Lattice Formation in Monoaxial Helimagnet Yb(Ni1-xCux)3Al9",
T. Matsumura, Y. Kita, K. Kubo, Y. Yoshikawa, S. Michimura, T. Inami, Y. Kousaka, K. Inoue, and S. Ohara,
J. Phys. Soc. Jpn. 86, 124702-1-12 (2017). LinkIcon

当研究室を希望する方へ
学部4年生は卒研配属希望を通して割り振られます.大学院で当研究室に入るには,先進理工系科学研究科量子物質科学プログラムの大学院入試に合格する必要があります.
卒研配属と大学院での研究室選びとは全く別物と考えていただいて構いませんので,修士課程からの加入,博士課程からの加入も大歓迎です.有利不利はありません.いつでも相談・見学に来て下さい.