くんくん日記
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2008年9月10日(水) 二つの目覚まし時計
歯を磨きながら、ふと目をむけると、そこにあるはずのものがない。いつも何気なく見ていたものがなくなるとやはり寂しい。
月曜日に時計が二つ止まってしまった。新しい電池を入れても動かない。二つ同時にというのが何か不思議なものを感じる。
二つのうち一つは、1987年3月25日から使っていたもの。たまたま時計の下に稼働日が書かれていたのだ。僕が大学に入学する直前から20年以上も動いていたことになる。新宿のヨドバシカメラで、一番目覚まし音の大きいものを購入した。クラシカルなデザインの時計だ。
もう一つは、稼働日こそかいていないがよく覚えている。1989年7月に、シベリア鉄道でヨーロッパを目指す、初めての海外旅行に出発する直前に、やはり新宿のヨドバシカメラで購入したものだ。この目覚まし時計とは、初めての海外旅行を二ヶ月間ともにしただけでなく、その後もいくつかの旅行をともにした。シベリア鉄道のコンパートメントで常に窓側のテーブルの上に置かれていた時計だ。結婚後は家内の目覚まし時計として活躍し、息子の出産の際には、部屋にももっていった。僕の人生の転機には常にこの時計が存在していた。
裏蓋を開けてみると、二つの時計はほぼ同じムーブメントで動いていた。どちらも同じ時期のセイコーの時計だから当然といえば当然だ。
80年代から僕を支えてくれていた二つのものが、同時に止まった。
きっと僕は生まれ変わらなくてはならないのだろう。そういうことなのだ。
20年間も使っている電気製品はとてもすくない。CANONの初代EOSは押し入れに眠っているが、未だ動くだろうか。それぐらいしか思いつかないほど、僕は電気製品を使い捨てしているようだ。