"ただいま読書中"(近況一言報告)1998年5月

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1998.05.31
古本屋で『梅田地下オデッセイ』(堀晃)を入手。ハヤカワ文庫JAの棚には無かったのだが、諦めずに作家別「ほ」の棚も探してみたら発見。ここ数ヵ月くらい探していたので、とてもうれしい。定価の半額で買えたし。良かった良かった。同時に『地獄のハイウェイ』(ゼラズニィ)、『泰平ヨンの航星日記』(レム)、『クローム襲撃』(ギブスン)なども購入。
マンガでは『女類男族』1巻(新井理恵がヤングサンデーで描いていたとは知らなかった)、青池保子『エロイカより愛をこめて』の新刊(少佐も中佐か<妙な日本語)、このあいだ読み始めた『アカギ』(福本伸行)の2、3巻、急にちゃんと読みたくなった小山ゆうの『おーい、竜馬』1、2巻など。
『舞姫通信』(重松清)を読了。「自殺」の問題を扱った小説。面白くはあるが、僕には身につまされるような深刻さは感じられなかった。話題の作家だけど、評価は保留。


1998.05.30
キャンパス・セクシュアル・ハラスメント・全国ネットワーク編の『キャンパス・セクシュアル・ハラスメント―「声を上げたい」あなたの支えとなるために―』を読む。内容紹介がここにあります。定価は500円+税。60ページほどのブックレットです。
『踏みはずす美術史』を読み始める。抽象画などは、「見よう」とするから難しく感じる。あんなものはプリントされた柄だ、と高をくくれば良い。そうすれば自分はそれを着てみたいか、着てみたくないか、着てみたいとすればどんな服のデザインにするか、着るとすれば夜か昼か、などの思案が湧いてくる――、なんてことが書いてあって、出だしはなかなか面白い。
晩ご飯に肉じゃがと卵焼きを作る。肉じゃがはちょっと薄味すぎたか。卵焼は好評でした。


1998.05.29
松本充代の新刊『DROP BY DROP』。長編も描くんだ、この人。結構良かった。どちらかというと、短編よりもこっちのほうが良いなあ。
『ノーベル賞ゲーム』読了。他人ごとの話として読む分には面白いが、自分がこういう激しい研究競争に巻き込まれたら、きっと耐えられないだろうな、と思う。自分がやらなくても遅かれ早かれ誰かが結果を出してくれるようなテーマを、何も人と争ってまでやることはない――と思ってしまうのだけど、そう思わない人が多いのかな。まあもともとはオリジナルなテーマでも、面白くなってきたら他の人も手を出し初めて、競争が激しくなってしまう、という状況もあるのでしょうけど。知識を求めているのか名誉を求めているのか分からなくなってしまう状況というのは、なんか違うなー、と思う。科学の進歩において、競争ってプラスになっているのだろうか。競争よりも協力の方が効率的なような気がするんだけど。
前から気になっていた『砂ぼうず』(うすね正俊)の1巻を買って読む。まあそれなりに楽しめるかな。
村上龍『五分後の世界』購入。この人の本って、まともに読んだのは『愛と幻想のファシズム』ぐらい。あ、『限りなく透明に近いブルー』は読んだか。大昔。なかみ忘れたけど。基本的に嫌いな作家なんだけど、『ヒュウガ・ウイルス』っていうのが気になっていて、それが『五分後の世界』の続編らしいので、とりあえず買ってみました。
諸星大二郎『栞と紙魚子と青い馬』購入。


1998.05.28
『科学』6月号の特集は「21世紀を女性研究者の世紀に」。サル学における女性研究者の活躍の話が面白い。確かにテレビでサルの番組を観てると、女性研究者が出てくることが多いような気がする。
くらもちふさこ『天然コケッコー』8巻、『ゴルゴ13』107巻、古本屋で島本和彦『ウルトラマンG』購入。


1998.05.27
『これがニーチェだ』(永井均)買いました。同じく講談社現代新書の新刊から『踏みはずす美術史』(森村泰昌)も購入。
安彦良和画集は、立ち読みしてみたら、やっぱり昔のと同じですね。ガンダムの上にアリオンが座っている(?)ポスターと、巻末の対談(?)が付け加わっているけど。でも何で今ごろこういうのが出るんだろ?
『ノーベル賞ゲーム』、読み始めたら面白くて一気に半分まで読んでしまった。


1998.05.26
『デビルマンの世界』(永井豪&ダイナミックプロ)を買ってしまった。カラーの画集プラス永井豪と橋本治の対談。最近デビルマンで商売してるよなあ>講談社。7月に出る限定BOXも欲しいんだけど、13,000円っていう値段には、さすがに躊躇してしまう。
それと並んで置いてあったのが安彦良和画集の復刻版(?)。中味を見なかったけど、昔の奴と同じなのかな?
秋月りす『かしましハウス』4巻、岡崎京子『UNTITLED』購入。巻末の編集部の注によると、岡崎氏はまだ療養中とのこと。回復をお祈りします。
今日は生協に新刊がいろいろ並んでいて目移りしたけど、とりあえずテリー・イーグルトンの『ポスト・モダニズムの幻想』を購入。他に気になった『ダーウィンのブラックボックス』とか、永井均の『これがニーチェだ』とか、ドゥルーズ初期の何とかいう本などなどは、とりあえず保留。ハッキングの『記憶を書きかえる』はいまだ生協で発見できず。
『危険な文章講座』(山崎浩一)読了。


1998.05.25
『WIRED』7月号の記事『創世記第二章―バイオテック産業最前線―』(マイケル・グルーバー)より:バイオテックというフロンティアには「カウボーイはいない」「15歳にしてすべてを知り尽くした人間はここにはいない」「バイオテック・フロンティアがまったくフロンティアらしく見えないそのわけは、一個人が簡易に扱えるテクノロジーが出回っていないからだ」。ちょっと前に研究問題MLで「生物学に“天才”はいるか」というような話が出ていたけど、やっぱり、数学やコンピュータの世界での「早熟の天才」のようなのは、生物の分野では出てこないような気がする。吉田秋生の『YASHA』には、そういう少年が登場するけど :-) 。
セミナーが終わったので、実験の合間に『情報の論理数学入門』の勉強を再開。


1998.05.24
CSをつけていると「ゴーショーグン」とか「ミンキーモモ」とか「タイムボカン」なんかが流れてくるので、観るとはなしに観てしまう。まあ他の仕事(料理とか本の整理とか)をしながらなんですけどね。
引っ越ししたら部屋が居心地よくて、休日、あまり外に出て行かなくても過ごせるようになった。とくに台所が広くなったのが良い。
他には『ダイターン3』のLDを観たり、プラモデルを作ったり。プラモデルなんて何年ぶりに作っただろう。作ったのは大学のそばの模型屋さんを覗いてつい衝動買いしてしまったリック・ドム。やっぱりモビルスーツっていったらドムだね。


1998.05.23
セミナーで論文紹介。一つはカエルの胚で背腹軸形成に関わっているVg1という分子が、実は左右軸の確立の初期の段階でも働いているようだ、という話。もう一つはマウスで約半分の個体が内臓逆位を起こす突然変異として知られていたivという変異の正体が、微小管上のモータータンパク質であるダイニンの異常であることが明らかになった、という話。なるべく分かりやすく説明したつもりだけど、4年生にはちょっと難しかったみたい。もっと修行せねば。
夜、ますむらひろしの『イーハトーブ乱入記』をぱらぱら読んでいたら、急に『銀河鉄道の夜』が観たくなって、ビデオで鑑賞。もう5回くらい観てると思うけど、やっぱり良いよなあ。音楽も良いし、絵も良い。とくにジョバンニの表情がすごく良い。泣ける(泣かないけど)。


1998.05.22
買った本:『嫌われものほど美しい』(ナタリー・アンジェ)はニューヨーク・タイムズのサイエンス・ライターによる生物エッセイ。『無脊椎動物の驚異』のコニフもそうだったけど、文章がうまいなあと感心する。『オタマジャクシはなぜカエルになるのか』(吉里勝利)は岩波の「高校生に贈る生物学」というシリーズの1冊。著者の研究者としての歩みや、科学観、生命観もまじえて、研究の楽しさを若い世代に伝えようという好企画。ちくま新書の新刊から、『イーハトーブ乱入記』(ますむら・ひろし)。やっぱり「かま猫」@『猫の事務所』の話は心にしみるよね。『危険な文章講座』(山崎浩一)。この人の本、読むの初めて(たぶん)だけど、けっこう面白そうだ。
『Comnavi』vol.7は格闘技マンガ特集ですか。この雑誌、売れるのかなあ、と思っていたけど、けっこう続いているな。売れているのかな。情報源としては重宝してるので、がんばって下さい。個人的には、少なくとも『ぱふ』よりはこっちが好みだな。そういや、もう何年買ってないかな>ぱふ。


1998.05.21
ゾウリムシの実習が無事に終わって一安心。でも、さ来週からまた実習、しかも今度は2週続きだ。それに続いて専門の方の実習もあるし。しばらくは色々落ち着かないなあ。
買った本:同時代ライブラリーの『ノーベル賞ゲーム』(丸山工作編)、生協でフェアをやっていた「文庫クセジュ」の中から『記号学』(ピエール・ギロー)、『フェミニズムの世界史』(アンドレ・ミシェル)、『思想』4月号「ジェンダー/セクシュアリティ」。


1998.05.20
実習やって、セミナーのレジュメ準備して。疲れた。


1998.05.19
今週は実習で忙しい。
昨夜、スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』を読了。
『ソラリス』はSFマガジンが500号記念でやった海外SFオールタイム・ベストで、長編部門第3位だった。僕は面白い作品に出会うためには、他人の評価は大いに参考にするべきだと思っているので、本棚の奥に眠っていた『ソラリス』を引っぱり出して読んでみた――のだけど…。
今ごろ読んでこんなこと言うのは申し訳ないけど、でもやっぱり古いと思う。古典としては意味があるんだろうけど。今さら驚くようなアイディアではないし(「ニュートリノ」云々のあたりをもっと突き詰めていったら面白くなっていたかもしれないけど)、ストーリーも単調だし。
ちなみにSFマガジンのベスト10は、夏への扉、火星年代記、ソラリスの陽のもとに、虎よ、虎よ!、幼年期の終り、ハイペリオン、ファウンデーション、地球の長い午後、星を継ぐもの、アルジャーノンに花束を。この中で僕が未読だったのが『ソラリス』『虎よ、虎よ!』『ハイペリオン』(『ファウンデーション』は最初の3冊だけ読んだ)。今回読んだ『ソラリス』を加えた8冊のうちで、手放しで面白い!と思ったのは、正味の話、『星を継ぐもの』と『ファウンデーション』だけだ。やっぱり僕はSFの血が薄いのかなあ。


1998.05.18
明日からゾウリムシを使った学生実習なので、午前中はその準備。午後には、さ来週にやる唾腺染色体の実習の予備実験で、アカムシ(ユスリカの幼虫)を解剖。去年まではショウジョウバエを使っていたのだが、世話が大変なので今回から釣餌のアカムシで代用しようということになった。というわけで、山のようなアカムシを冷蔵庫で飼っているんだけど、さてどのくらい持つものなんだろう?これが全部成虫になったら、と考えると恐ろしい(^^;。


1998.05.17
のんびりした休日を過ごす。洗濯して、CSで古いアニメを観て、マンガを読んで、文庫を読んで、買い物をして、料理をして。


1998.05.16
小学館文庫、石ノ森章太郎『石ノ森章太郎の青春』購入。
最近、松本充代のマンガを3冊(『記憶のたまご』『ダリヤ・ダリヤ』『私に足りないもの』)続けて読んで、ちょっと食傷ぎみ。


1998.05.15
松岡正剛監修『情報文化の学校』購入。
来週のセミナーの論文紹介で脊椎動物の左右非対称性の話をやろうと思って、論文をさがす。去年のNatureに出たマウスの inversus viscerum という変異の正体がダイニンのmutationだったという話と、最近のCellに出たVg1の話などを中心に紹介しようかな、と思って論文を眺めているところ。おぼろげながら非対称をつくる最初のステップがそろそろ見えてきそうな感じですね。


1998.05.14
「民族自然誌研究会」というところが編集する『エコソフィア Ecosophia』という新雑誌が出た。発売元は京都の昭和堂。巻頭の特集は昨年事故で亡くなった生態学者、井上民二氏による東南アジア熱帯林の生態の紹介。年二回刊行だそうです。
『創』6月号購入。中田英寿、所沢高校、南原四郎など。


1998.05.12
日曜に魚喃キリコの単行本を初めて買った。『blue』。それを昨日の晩に読んだ。最小限の線で描かれた絵には透明感があって気持ち良い。甘くてせつない、吉田秋生の『桜の園』から身体の汗臭さとか埃っぽさとかをぜんぶ灰汁抜きしたような、そんな感じの話。癒し系かも(笑)。けっこう気に入りました。他の本も読んでみよう。(にしても「なななん」ってすごい名前だな。)
『古本マニア雑学ノート』読了。
アニメージュ・スペシャル『宮崎駿と庵野秀明』購入。


1998.05.11
『情報の論理数学入門』は第I部を読み終わる。第II部はいよいよブール代数の話だ。なんでブール代数について知りたいかと言うと、カウフマンの本を読みたいから。"The Origins of Order"は無理でも、"At Home In The Universe"なら何とかなるんじゃないかと思っているんだけど…。いずれにしろ、数学の知識は必要だ。日本語訳が出てくれるとうれしいんだけど、誰か訳す予定はないのかな。


1998.05.10
広島へ本の買い出しに行く。
唐沢俊一『古本マニア雑学ノート』、大月隆寛『大月隆寛の無茶修行・上』、重松清『舞姫通信』、和田純夫『力学のききどころ』、伏見憲明『クィア・パラダイス』など。でも一番の収穫は、どこの本屋に行っても見つからなかった『明和電機・会社案内』が手に入ったことかな。
マンガは永井豪『グレート・マジンガー』、永井豪&石川賢『ゲッターロボ』2、3巻、同じく『ゲッターロボ號』4巻、島本和彦『レッドカード』2巻、などを購入。


1998.05.09
つい岩明均『寄生獣』を読み始めてしまい、つかまる。やっぱすごいよな、この話。何度読んでも面白い。
夜、PerfecTV!で「ねらわれた学園」の新しいバージョンをやっていたので、観る。1話から3話まで。なかなか良いが、やっぱりルーズソックスには違和感を覚えるな。最近の子たちにはあれが自然なんだろうけど。高見沢みちるがルーズソックスをはいていたかどうかは、見逃してしまった(笑)。


1998.05.08
今、読んでいる本。
『ソラリスの陽のもとに』(スタニスワフ・レム):寝る前に少しづつ読んでいる。面白い。
『情報の論理数学入門』(小倉久和、高濱徹行):ブール代数について知りたくて読んでいるんだけど、そこまでたどり着けたらおなぐさみ。


1998.05.06
「最近読んだ本」のページ更新しました。一挙に書いたので投げやりな文もありますが、勘弁して下さい。ついでに1〜3月分と、4月分からの分をファイルを分けることにしました。よろしく。今後は3ヵ月ごとに分けて、

最近読んだ本1998年1〜3月分
 Links to "ただいま読書中"(近況一言報告)1月2月3月

最近読んだ本1998年4〜6月分
 Links to "ただいま読書中"(近況一言報告)4月5月;6月

というような感じで作ろうと思います。


1998.05.05
スチール・ラックにCD、ビデオテープ、LDなどを整理する。NFL(←アメフトね)のビデオが大量に棚を占拠している。NHK BSで観ていたうちはまだ良かったけど、デジタルCSでGAORAを観だしてから、鬼のようにテープが溜まるようになってしまった。録画だけして観ていない試合も結構あるんだよな…。そのうち整理しないといけない。
高橋葉介『学校怪談』9巻購入。このシリーズ、やっぱり初期の1話完結スタイルの方が面白かった。
『絶対音感』を読了。


1998.05.04
『絶対音感』を読みつつ西条へ帰る。福山で乗換えのときに本屋を覗いて、近所の本屋になくて探していた永野のりこ『電波オデッセイ』2巻を買う。他にも色々買うべきマンガがあったけど、新刊だから西条で買えるだろうと考えて買わずに帰る。


1998.05.03
一日中のんびりと過ごす。
Scienceに載った"One or Three Cambrian Radiations?"という短い論文を眺める。カンブリア紀以前に左右相称動物は3つの系統(Lophotrochozoa、Ecdysozoa、Deuterostomia)に分かれていて、カンブリア紀の放散はそれぞれの系統で独立に起こったという話。Lophotrochozoa(何て訳すんだろ?)とかEcdysozoa(脱皮動物)という概念が今後、どう支持されたり、反駁されたりしていくのか、楽しみ。
船戸与一『流沙の塔』を読了。


1998.05.02
岡山発の引っ越し荷物が届いて、引っ越し関連はほぼ終了。東京で弁護士をしているNさんが遊びに来るというので、岡山の友人夫婦の家へ泊まりにいく。


1998.05.01
船戸与一『流沙の塔』、ようやく上巻だけ読み終わったけど、何だかいま一つ。これから面白くなるのかなあ。4月は公私ともに忙しくてあまり本が読めなかった。「最近読んだ本」の更新も滞っていますが、連休開けにはなんとか…。


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