映像メディア教材の開発にともなう教育的意義と実践的効果
大学院の授業「教育実践研究(社会科)」に参加した関係者の感想を紹介します。
以下,映像メディア教材を開発した院生,ならびに院生といっしょに教材研究に取り組み,授業で教材を活用いただいた協力校の先生方のコメント(インタビュー記録)を掲載します。
● 協力校の先生方のコメント
● 徳島市立津田小学校教諭
教材を深く追求して理論的に構造的につくっていくと,「子どもの目も輝くな!」ととても感じました。院生さんと関わらせていただいて,いかに授業と教材を深く追求し,理論的に組み立てていくことが大切かを強く学びました。
● 豊中市立寺内小学校教諭
自分では絶対に用意できないような手の込んだ教材というのは,すごく子どもも食いつきがいいです。なかなか業務の合間を縫って,そこまでの教材を用意することができないので,今回は希望に添った教材を用意してくださったので助かりました。なかなかふだん会えないテーマに出会うことができたかなと思って,例えば,大阪の身近なことだけじゃなくて,5年生6年生ってなってくると,地域を離れて,より広い視野から地域を捉える指導というのが必要になってくるかなと思います。それにぴったり合った教材だったかなと思っています。
● 美波町立木岐小学校教諭
どのような言葉の言い回しとかグラフの見せ方をすれば,子どもによく伝わるのかとかいうのを考えるきっかけになりました。院生さんと一緒に考えながら,こういった表現は分かりにくいんじゃないか,こうすれば分かりやすいのではないか,そういったことを話し合うことができ,自分にとって大変勉強になったと思います。
● 美波町立木岐小学校校長
院生さんたちと,うちの担任が話をしたりして,違った立場で子どもたちを見ることができた,これが第一番の成果だと思います。
● 大学院生(佐々木)のコメント
今回の学習の意義は,自分たち自身で取材・調査したことにもとづいて映像メディア教材を作ったり,自分たちで作った教材を活用した授業実践のサポートに入ったりすることで,授業理論についての理解が深まったこと,また教科教育と各学問のつながりをつくっていく必要性を実感したことでした。
また,協力校の先生方から実践の前後に指導していただく過程で,子どもの腑に落ちる表現をすることの難しさ,地域や生活の実態を踏まえた授業づくりの大切さを,リアルに体験を通じて学ぶことができました。
実践を通して見えてきたものは,同じ教材でも子どもの学年が違えば理解も異なること,そして同じ教材でも,教員によって解釈や教え方が異なり,例えば,映像を止めながら繰り返し問いを投げかけ,答えを映像で検証していくタイプの授業と,映像を一通り見せて,後から内容を吟味し理解を定着させていくタイプなど,授業の作り方には教師の指導観や子どもの実態に応じて多様な選択肢があることが,ことばではなく経験として納得できました。
このように,大学で学んだことを教育現場で確かめたり,逆に大学の中だけでは気づかなかったことを教育現場で学ぶことができた「教育実践研究」でした。
(現在,佐々木さんは,某市の小学校教諭として活躍されています)