ただいま読書中(近況一言報告)
1999年5月
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6月分
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1999.05.31
- (承前)ブラッドベリ(『火星年代記』とか)もハヤカワの分類ではSFじゃなくてNVなのか。創元ではブラッドベリはSFに分類してるよね。さらにハヤカワ的には『ターザン』はSFらしい。よくわからない分類だ。
1999.05.30
1999.05.29
- 「サイフィクト」構想に関連して、読書遍歴の話などを Web上で見かける。たどる道筋はもちろん人によって違うんだけど、いくつかの似たようなパターンというのはあるんだろうな、と思う。とくに同世代では。
そんなことを考えていて、自分が子供の頃からどんな本を読んできたのかを、ちょっと振り返ってみたくなった。以下はその話(記憶力が悪いんで、不正確なところもあるかも)。
・子供の頃
まず本当に幼い頃は、親が買ってくれた本を読んでいた。子供向けの、名作といわれる絵本や童話(『ぐりとぐら』とか『いやいやえん』とか『ひとまねこざる』とか)がたくさんあった。「こどものとも」とか「科学のとも」なんかも読んでいた。
小学校に上がって図書館が利用できるようになると、手当たり次第、いろんな本を読んだ。主に子供むけに翻案されたエンタテイメントで、特に気に入っていたのは江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズをはじめとする推理小説。もちろんSFも読んだし、冒険小説、スパイもの、ウェスタンなども読んだ。相変わらず親も名作児童文学のような本(古田足日とか椋鳩十とか)を買ってくれていたので、そういうのも読んでいた。特に印象に残っているのが、子供向けではあるけれど、ちゃんとした翻訳を読ませてくれた福音館のシリーズで、『ロビンソン・クルーソー』『海底二万海里』『二年間の休暇』『アーサー王と円卓の騎士』『トムソーヤの冒険』なんかを読んだ。(このシリーズですね。)
・思春期
学校の図書館だけでは飽き足らなくなってきた頃に、家が別の街に引っ越した。新しい街には市立の図書館があって、ここには学校にはない種類の本がいろいろあった。小学校高学年から中学、高校にかけては、この図書館に通いつめた。同時に、自分で本を買えるくらいの小遣い(大した額ではなかったが)ももらえるようになったので、本屋にもよく通った。
この頃、借りて読んでいたのは日本のSF、推理小説。平井和正の『ウルフガイ』や山田正紀『“神”三部作』などに夢中になった(15日の日記も参照)。海外のSFなどはあまり置いていなかったと思うのだが、ハヤカワ銀背のブラッドベリやハミルトンを読んだ覚えはある。
自分で買って読んだのは、図書館に置いていなかった本で、鶴書房のSFジュブナイル・シリーズや、出版社は忘れたけど黄色の背の文庫版のSFジュブナイル。中学後半くらいになると、『幻魔大戦』をはじめとして角川などが出していた日本のSF小説を買っていた。高校に入って、海外の名作SFを少しづつ読みはじめた。『夏への扉』『成長の儀式』『スラン』『人間以上』『地球の長い午後』などなど、まあ当時オールタイムベストと言われていたものを読んでいった。ミステリにはSFほど力はいれていなかったが、クリスティなんかを少しづつ読んでいた。
高校1年の時、『グイン・サーガ』にはまる。(7巻『望郷の聖双生児』が出た時から読みはじめた。いや、この頃のグイン・サーガって本当に面白かったんですよ。)それがきっかけで、SFからヒロイック・ファンタジーよりにシフトする。『コナン』も読んで、これにもはまり、当時手に入ったそれ系の小説を手当りしだい(といってもそんなに数はなかった)買って読んだ。『ゾンガー』『ブラク』『ファファード&グレイマウザー』『ルーンの杖秘録』、ちょっと離れるけど『アンバー』とか『ハロルド・シェイ』なんかも。その後、『コルム』や『エレコーゼ』なんかの翻訳も始まった。(当時『WINGS』を買っていた理由の一つが、『エルリック』の翻訳が連載されていたからだった。)ちょうどパソコンでRPGが流行しはじめた頃でもあったし(「ブラックオニキス」とか「夢幻の心臓」とかにはまった)、ファンタジー的な世界に強く魅了されていた。ちょうどこういうのがブームになりはじめた頃だったんだよね。「ダンバイン」とかもこの頃だったし。
『グイン・サーガ』をきっかけに栗本薫にもはまり、当時は栗本の出版されている本はほとんど読んだ。(推理、SFはもちろん、耽美系も。実は『真夜中の天使』とかも結構好きだった。まあマンガ的にはLaLa系だったので。)
・大学時代
浪人時代、そして大学入学当初は、だいたいこの線で読んでいたのだが、大学生活を送るうちに、だんだん小説を読まなくなった。どちらかというと、ノンフィクションとか学術的な本に目が向いていった。ファンタジーやSFは、地に足が付いておらず、軽薄だと感じるようになった。全く読まなくなってしまったわけではないが、生活に占める比重はどんどん軽くなっていった。純粋に楽しむために本を読む、という感覚をちょっと忘れていたようだ。
再度小説を読みはじめたのは4年生の、大学院入試が終わった頃で、この頃まとめて読んだのが日本文学。僕はそれまで全くその手の本は読まなかったのだが、何を思ったか(本当にね)、急に『三四郎』だの『破戒』だのといった古典を読みはじめた。詩や短歌なんかもだいぶ読んだ。現代日本の若手作家(今の言葉でいうと「J文学」ですカ)も少し読んだが、こちらは全然ダメでした。まあこれは遅い“はしか”のようなもので、長くは続かなかった。
・大学院以降
大学院に入っても、やはりノンフィクション系を読むことが多かった。これは京大生協の書評誌『綴葉』で編集委員をやっていた関係もある。この仕事がらみでは、必要ならば何でも読んだ。吉本ばななのまとめ読みなんて事もした。橋本治なんかを読みはじめたのも、この仕事がらみだった。
小説ではハードボイルド、冒険小説などを読むことが多かった。北方謙三は『逃れの街』が良かったので何冊か読んだが、すぐに飽き、海外の名作(『ジャッカルの日』とか『深夜プラス1』とか)や『フィリップ・マーロウ』、『スペンサー』シリーズなんかを読んでいた。あとはテリー・ホワイトとか、国内では志水辰夫とかも。そうこうするうちに『山猫の夏』に出会って、船戸与一にはまる。『猛き箱舟』は今まで読んだ内外の冒険小説の中でもベストの作品だと思う。
そんな頃、ふとした拍子に手にした『十角館の殺人』を読んで、ミステリ熱が一気に再燃する。特に日本の「新本格」に興味をもち、綾辻行人、法月綸太郎から、島田荘司に向かう。海外のちょっと新しめの名作も何冊かまとめて読む(『偽のデュー警部』『ホッグ連続殺人』『キドリントンから消えた娘』なんてあたり)。
以来、だいたい現在に至るまで、自分的にはミステリ・モードが持続しているような気がする。でもSFモードも少しづつではあるが復活の兆し(いや、サイフィクト・モード :-) かもしれないが)。たぶんネットでいろんな情報が手に入るようになったのと、バイオ系のSF(的作品)が増えてきたのが理由でしょう。最近は、読みのがしていたSFの名作を何冊か読んだ。『虎よ、虎よ!』『エンダーのゲーム』『ソラリスの陽のもとに』『闇の左手』『竜の卵』『ブラッド・ミュージック』『猫のゆりかご』など。
しかし、あらためてこうして振り返ってみると、結構、世の中のブームの波に乗った読書をしているという気がするな。SFブーム→(ヒロイック)ファンタジー・ブーム→冒険小説ブーム→ミステリ・ブーム→ホラー・ブーム(ジャンル・ミックス)。正確な時期は分からないけど、年代順でいったら、こんな流れだったよね、たしか?
1999.05.28
- 奥浩哉の短編集が2冊刊行された。とりあえず『黒』の方を購入してみる。けっこう良いので『赤』の方も買おうかな。
1999.05.27
- 実習3日目。今日で終わり。あとは6月に3年生の実習があって、7月にもう一度教養の実習がある。
実習を始める前には、30分くらい講義をする。講義はわれわれ助手が担当する場合もあるし、助教授や教授が担当する場合もある。2〜3時間という限られた時間でスムーズに実験、観察ができるように、手順やコツをきちんと伝えるのが第一義的なのだが、同時に、その実習で扱う生物学的現象と、実習の意義を理解してもらわないといけない。講義を担当することになると、何を話すべきか結構、悩む。時間が短いからあまり突っ込んだ話はできないし、かといって上っ面をなでたような話では、特に高校で生物を習ってきているような学生には退屈だろう。結局、基本的な話をしながら、随所にちょっとしたトピック的な話をはさんでいく、というのが良いのかな、という気がしているのだけど、その辺の話術というのは、結構むずかしい。
- 『続蠢動』(園山二美)購入。
1999.05.26
- 実習2日目。昨日の実習で、学生さんがどこで失敗しやすいかが大体わかったので、今日はわりとスムーズに進んだ。
- 『あたしのすべて』(安彦麻理絵)購入。
- 『新世紀エヴァンゲリオン コミック総集編』(貞本義行)購入。(買ってしまったよ。)単行本未収録分を読む。綾波はマンガ版の方が親しみがもてるな。
1999.05.25
- 実習1日目。ムラサキツユクサを使った減数分裂の観察。
- 『ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター』(上遠野浩平)読了。雰囲気にひたって読んでしまうことはできるんだけど、結局どういう話だったのか、つかみどころがない感じ。キャラクタ達の行動原理というか行動の動機が抽象的で分かりにくいのが原因か。イマジネーターとか統和機構って結局何がやりたかったの?エヴァ?
- BSマンガ夜話の再放送、『動物のお医者さん』の回をビデオで観る。なんかいつもよりギスギスした感じ。岡田斗司夫は不機嫌そうだし、いしかわじゅんの発言に一条ゆかりがマジでむっとしてるし(逆もまた)、大月隆寛の発言もなんか変だし。戸川純が発言すると救われる気がする、というのが何とも……。
1999.05.24
- 実習の準備。資料を作ったり、いろいろ。
- 『数理科学』の6月号、特集「ゲノム解析 ―生物情報科学の発展―」を購入。『bit』(特集「ゲノム情報から生命の原理を探る」)は探しているんだけど、見つからないな。
- スター・ウォーズ特集ということで『CUT』の6月号を購入。
- 『EDEN』3巻(遠藤浩輝)、『蒼天航路』16巻(王欣太&李學仁)、『男の華園 ―A10大学男子新体操部―』2巻(桑田乃梨子)、『TALKING LOFT 3世』vol.1 購入。
1999.05.23
- 『法月綸太郎の新冒険』(法月綸太郎)読了。5本の短編が収録されている。単行本が出たのは『パズル崩壊』以来、だから約3年ぶりか。内容はどれもちゃんと本格のパズラー。『パズル崩壊』にあったような、ちょっとずらしたような作品は無い。法月氏には、こういう作品をコンスタントに出していって欲しいですね。「背信の交点」と「身投げ女のブルース」が特に良かった。
僕は昔、法月氏とちょっとだけ話をしたことがある。向こうは憶えていないだろうけど。大学に入学して、何かサークルにでも入ろうかと思って色々さがしていた頃、ミステリ研にも3回くらい顔を出して、上級生たちと色々話をした、その中に法月氏もいたのだ。我孫子氏もいたけど、話をしたかどうかはよく憶えていない。綾辻氏はたぶんいなかったと思うけど、これもよく憶えていない。みんなデビュー前だったし、その時はこの人たちの中からプロが出るなんて夢にも思わなかった。結局、入会はしなかったんだけど、それは、ここに入ったら完全にオタク的生活に陥ってしまうだろうなあ、と感じたのが大きかったと思う。僕が参加した例会のうち、1回は本の品評会みたいな会で、もう1回は「犯人当て」という、創作発表の会だったんだけど、その場でびんびんと発せられる彼らの「本格」にかける熱意に当てられて、引いてしまったんだよね。ミステリは好きだけど、そこまで熱くはなれないぞ、というか。いま思うと、そういうコアな人たちとは別の参加の仕方もあっただろうな、とは思うのだけど、当時はそうは思わなかったのだ。
ちなみにSF研には入ろうとも思いませんでした :-) 。
- 『ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター』part1、2(上遠野浩平)購入。
- 「知ってるつもり」で荻野久作をやるというので観る。新潟で町の産婦人科医をやりながら、女性の排卵と月経の時期の関係について、世界的な研究を行った人。荻野氏を題材にした「法王庁の避妊法」という演劇があって、僕は自転車キンクリートがやった舞台をテレビで観たことがある。これがすごく楽しく、かつ、感動的なお芝居だった。今回の番組を観て、この芝居がけっこう現実に基づいていたのだなと確認できた。芝居を観たときには何故(「オギノ式」が)「法王庁の避妊法」なのか分からなかったのだけど、その理由も分かった。(法王庁はコンドームやピルによる避妊を認めず、「オギノ式」だけを神に認められた避妊法とする、という声明を出したらしい。)
1999.05.22
- 平凡社新書が創刊された。第一弾8点の中から『日本の無思想』(加藤典洋)、『国会議員』(上田耕一郎)、『J-POP進化論』(佐藤良明)購入。
- 「グイン」を「グィン」と書くのはやめて欲しいなあ。ル・グィンからの連想なんだろうか。「イシュトヴァーン」を「イシュトバーン」と書く人は(なぜかグイン読者の中にも)時々いるけど、「グィン」というのはさすがに見たことがないぞ。
- 来週は学生実習なので、講義の準備などをする。
- 『なぎさMe公認』15巻(北崎拓)、『男の華園 ―A10大学男子新体操部―』1巻(桑田乃梨子)購入。後者は月下工房で紹介されていて、読んでみようかと思ったもの。結構おもしろい。
1999.05.21
- 寝る前に『アキハバラ』を読みはじめてしまったのが間違いで、止められずに一気に読了してしまった。おかげで朝はちょっと寝不足。どうということはない軽い話、いってみればライト冒険小説なんだけど、テンポが良くてすいすいと読まされてしまう。読後感も良い。この面白さはマンガ的な面白さだよね。登場人物の造型とか話の展開とか。暇つぶしには最適な読み物でしょう。
- 物質生命コースの新歓で飲み。
1999.05.20
- 生協に入荷したら買おうと思っていた本2冊を見つけて購入。『動物園にできること』(川端裕人)と『アキハバラ』(今野敏)。
- スターウォーズが表紙のニューズウィークを購入。記事では「期待外れ」とボロクソに言われていますな>エピソードI。あと、キャリー・フィッシャーのエッセーが載っている。
- 『サイゾー』創刊号購入。けっこう読めるかな。『WIRED』の方がカッコは良かったけど。
- 『からくりサーカス』8巻(藤田和日郎)購入。
1999.05.19
- ここ数日は、『ファインマン計算機科学』を読んでいる。今ちょうど半分くらい。かなり面白い。
1999.05.18
- 『黒猫の三角』(森博嗣)読了。新シリーズということで期待しつつ読み、それなりに満足。ちょっとキャラクタたちがはしゃぎすぎ、という感じがなきにしもあらずだったけど。例によって、とても頭の良いキャラが出てくるんだけど、その人が語っている内容はちょっと陳腐な感じ。まあ頭の良さと思想の深さは必ずしも一致しない、というのも森博嗣的「リアリティ」なのかな。
- 『天才数学者たちが挑んだ最大の難問 ―フェルマーの最終定理が解けるまで―』(アミール・D・アクゼル)読了。フェルマーの最終定理が証明されるためには、一見なんの関係もないように思える分野も含めて、現代数学の非常に広範な知識が使われた。そのような知識を積み重ねてきた数学者たちの仕事を、古代バビロニアの数学からフェルマーの最終定理の証明に至るまで、歴史を追って紹介している。
一般向けの読み物だし、フェルマーの最終定理の証明の内容についてはほとんど踏み込んでいないので、数学の素人でも楽に読める。僕的には、数学者たちがどういうスタイルで研究を進めているのかが分かって面白かった。
- 文庫版『自虐の詩』上・下巻(業田良家)購入。
1999.05.17
- 『マンガ夜話』のvol.4が出ていたので購入。今回は『めぞん一刻』(高橋留美子)、『櫻の園』(吉田秋生)、『TO-Y』(上條淳士)。どれも好きな作品だな。
- 『コミックボックス』の6月号購入。コンバトラーV、ボルテスV、闘将ダイモスの特集。
- CSで京大VS関学のアメフトの試合の放送があったので観る。1stQは関学のオフェンスに京大のディフェンスが完全にやられてて、どうなることかと思ったけど、その後はほぼ互角の試合。春の試合にしては結構みごたえがあったかな。
1999.05.16
- 広島に本を買いにいく。『絹の変容』(篠田節子)、『不安な童話』(恩田陸)、『帰ってきた 帰ってきたウルトラマン ―検証・第二次ウルトラブーム―』(監修・円谷プロダクション)購入。
- マンガは、今回は松井雪子特集ということで、『恋の南極』(松井雪子)、『東京デビュー』上・下巻(松井雪子)を購入。『おんなのこポコポン』(松井雪子)は途中までは買った覚えがあるんだけど、どこまで買っていたか忘れてしまっていて、とりあえず確実に持っていないであろう5巻だけ購入。ほかに『宙舞(そらん)』1巻(小林信也/秋重学)など。
- CDを2枚購入。『Good Day Afternoon』(Chappie)と、『recubed ep』(嶺川貴子)。後者は『roomic cube』のremix。
メモ:嶺川貴子のニューアルバムは7月に発売予定とのこと。
- ずいぶん前に生協に注文していたのに結局入荷しないという連絡が来たので、LD屋で『カウボーイ・ビバップ』#4、#5をまとめ買い。
- 広島に、GATEWAYの店がオープンしたらしい。街を歩いていたら、牛の柄のタクシーとか牛柄の風船なんかを見かけた。
1999.05.15
- 今日は、ここしばらく(他の実験もやりつつだが、2ヶ月くらい)取り組んでいた実験の結果が出る日。実験系の研究者は誰でもそうだと思うけど、未知の結果を見る時は、わくわくするものだ。データはX線フィルムの感光をシグナルとして検出するのだが、暗室で現像の結果を待つ時間は、心臓がどきどきする。定着液にフィルムを突っ込んで暗室の灯りをつけて、シグナルが出ているのを確認し、どのレーンにどのようなシグナルがあるかを読み取る。頭の中でデータを整理して、なるほどこういう事かと理解する。それがごく些細なデータであったとしても、この時間には幸福を感じる。
- 僕は、コアなSFファンじゃないけど少しはSFも読みます、というレベルの読者なので、梅原克文が言うところの「サイフィクト」のターゲット層に属しているのだろうな、と(最近の騒ぎを読みながら)思ったりする。
今まで読んできた日本のSF(っぽい作品)の中で面白い! と思ったのは、眉村卓、光瀬龍などのジュブナイル、星新一のショートショート、幻魔大戦でいっちゃう前の平井和正(特に『ウルフガイ』シリーズ)、『神狩り』などの初期の山田正紀、半村良の伝奇もの、梶尾真治の短編、式貴志の短編、初期の『ダーティー・ペア』、『グイン・サーガ』、『魔界水滸伝』、『キマイラ』、『魔獣狩り』、『闇狩り師』、えーと、他にもあったかもしれないけど、いま思い出せない。最近では『十二国記』(ファンタジー?)、『二重螺旋の悪魔』、『ループ』、『レフトハンド』、『天使の囀り』くらいかな。こうして見ると、ほとんどが「サイフィクト」、加えて、スペオペと(ヒロイック・)ファンタジーが少し、というところですか。我ながら、とても大衆的(非マニアック)な好みだ。
逆に、SFの人がこぞって「面白い」というのに僕的には面白くなかったのは、『戦闘妖精・雪風』と『星界の紋章』(1巻しか読んでないけどな)。
- 『天才数学者たちが挑んだ最大の難問 ―フェルマーの最終定理が解けるまで―』(アミール・D・アクゼル)、購入して半分くらいまで読む。最初の方のバビロニアとかギリシアとかの話はちょっと退屈だけど、このあと面白くなってくるのだろうと期待。
- 平凡社ライブラリーに入った『鼻行類 ―新しく発見された哺乳類の構造と生活―』(ハラルト・シュテュンプケ)を購入。平凡社は偉いよな。『動物大百科』に代表される真面目な本もきっちり出すし、別役実の『真説・動物学大系』や、『恐竜の飼い方おしえます』(ロバート・マッシュ)みたいな本も出してるし。かつて『アニマ』を出していた出版社だけあって、その筋の編集者がいるのでしょうね、きっと。
1999.05.14
- 法月綸太郎の新刊『法月綸太郎の新冒険』購入。
- 文庫版の『宵闇通りのブン』(高橋葉介)購入。
- 新聞広告によると、西条に「餃子の王将」ができるらしい。京都に住んでいたころは大学の近所だけでも3軒くらい王将があって、餃子と麻婆豆腐の定食をよく食っていた。懐かしい味。あとは天一ができれば完璧なんだけど。(書いていたら食べたくなってしまった。)
1999.05.13
- 森博嗣の新刊『黒猫の三角』が生協で買えた。ちゃんと数冊平積みになっていた。これからもこの調子でお願いしたいものです>講談社。置けば売れるんだからさ。
- 『Comic GON!』の5号が出ていたので購入。どの記事も面白くて、捨てるところがない充実度。たとえば「劇画村塾」とか「マンガ少年」とか「OUT」とか「COM」とか、そして何よりも巻末のカラーページで「とびだすえほん」の特集(!)という快挙。懐かしくて涙が出るよ。他にも、ちばてつや、さいとうたかを、川崎のぼる、JAC、などなど。ツボ押さえまくり。
- 『ただいま寄生中』(あさりよしとお)購入。
1999.05.12
- 近田春夫『考えるヒット2』購入。
- このところ両生類ばかり解剖していたが、今日はウズラとラットを解剖した。手触りが暖かいのが、いつもとちがっていて、ちょっと変な感じ。
1999.05.11
- 体調はだいぶ回復してきた。しかし薬のせいで眠い。
- ティプトリーの『星ぼしの荒野から』を読みはじめて、最初の4編を読み終わる。そこそこ面白いけど、感動するほどではないな、今のところは。
1999.05.10
- 『バイテク・センチュリー』(ジェレミー・リフキン)購入。
- 『ストレンジラブ』1巻(田中ユキ)購入。
1999.05.09
- 風邪。徐々に快方に向かう。
- 『永遠の仔』(天童荒太)読了。最近、軽めの小説ばかり読んでいたけど、やはりこういう重厚なテーマを取り上げて深く描ききった作品を読むと感動するなあ。個人的には、ジラフが神奈川に旅行に来た養父母と会うエピソードと、幼い頃の優希が弟と他愛もなくじゃれあう場面の描写などに、じーんときた。
1999.05.08
1999.05.07
- 風邪。
- 『怖いもんなし23人の 喋るぞ! ―闘う文化人のガクモンのすすめ―』購入。
1999.05.06
- 体調が悪い。ちょっと風邪ぎみかも。
- セミナーの発表。無事終了。
1999.05.05
- 『御題頂戴』(とり・みき)、『スカルマン』(石ノ森章太郎)、『ナムチ』(高寺彰彦)、『めーどイン山形』1巻(安彦麻理絵)、『マイニチ』1巻(木村千歌)購入。
- マンガの感想をいくつか。
さそうあきらの『神童』は大傑作ですね。マンガで音楽を描くというのは難しいけど、見事にやってのけている。
『御題頂戴』(とり・みき)は、何度か声をあげて笑ってしまった。面白い。
『イーグル』(かわぐちかいじ)。「アメリカ大統領選解説マンガ」以上のものになり得るのかどうか。今一つ乗れないのは、候補の人格的魅力があまり感じられないからかも。
『マイニチ』(木村千歌)。木村千歌のマンガは、ほのぼの系ではあるんだけど、なぜか底の底の方に暗いものを感じてしまうんだよね。気のせいなのかな。『こたつむり伝説』のトラウマかも。あのラストは(悪い意味で)ショックだったからなあ。
『スカルマン』(石ノ森章太郎)。「仮面ライダー」の原型となった、ダークヒーロー「スカルマン」の活躍する「社会派マンガ」といわれる作品、なのだが……、うーん、(これが発表されたのが1970年だというのを考慮しても)これを「社会派」と言うのは苦しいのでは?
- ヒロスエが出てたTBSの特番を、マンガを読んだりしながら観る。よく分からない番組だった。面白かったのは、人工子宮の話くらいかな。しかし立花隆が「苦しいのが嫌だから人工子宮を使いたい、などという女性はいないはず」とか言っていたのには「そうかあ?」と思ってしまった。
- 『よいこのめばえ ―女性マンガ家インタヴュー集―』読了。松井雪子が面白い。
1999.05.04
- 昨日は書くことが多くて埋もれてしまいそうだったので、今日書く。妹夫婦に赤ちゃんが生まれたというしらせが入った。うまれたのは5月2日深夜。男の子。妹が母親になると思うとなにか変な気分だが、なにはともあれ、無事に生まれてめでたいめでたい。
- 夕方、大学にいってセミナーの準備をしたり、大腸菌を培地に植えたり。
- 『イーグル』4巻(かわぐちかいじ)、『殺し屋1』4巻(山本英夫)購入。
1999.05.03
- 大阪に行った。目標は堂島アバンザのジュンク堂大阪店と、まんだらけ大阪店。どちらも梅田にある。
- ジュンク堂は、なるほど大きい。1階にマンガ、2階に文芸、文庫、雑誌など、3階に専門書。しかし、置いてある本の種類自体は、まあこんなものかな、というかんじ。特にすごいという感じはうけない。洋書がもっと充実しているかと思ったけど、こちらは貧弱で期待外れ。本の種類を楽しみたいなら、やはり古本屋の方が面白いね。
- 2階で購入した本。『鍋が笑う』(岡本賢一)。挿し絵が可愛らしい。『よいこのめばえ ―女性マンガ家インタヴュー集―』(鎌田祟太郎)。登場するマンガ家は、青木光恵、安彦麻理絵、伊藤理沙、すみれいこ、月岡直美、いさやまもとこ、松井雪子、波南カンコ、桜木さゆみ、まついなつきの10人。まだ途中までしか読んでないけど、安彦麻理絵のインタヴューは結構、意外。こういう人だとは思わなかった。いや、今現在はマンガのイメージと近いのだろうけど、昔の話が。
- 3階で『選択なしの進化』(リマ=デ=ファリア)購入。反ネオダーウィニズムの本。
- 1階で『海景酒店』(関川夏央、谷口ジロー)、『エス/太陽はボクらの敵』(山本夜羽)、『カエルちゃん』(深谷かほる)、『BEAUTIFUL MONEY』(SABE)。
- 「まんだらけ」に行ったのは初めて。ビンテージもののショーケースなどは、みていて面白い。まあその手のやつは高くて買えないので、ふつうの棚を中心にみてまわる。品揃えは岡山の万歩書店とそう大きく違うという感じはうけない。無いものはやはりないし。でも店内が広くて探しやすい。
- さべあのまの『地球の午后三時』購入。昔(高校生くらいの頃)はあまりピンとこなかったけど、今読むとけっこう良いな>さべあのま。ちょっとまとめて読んでみたい気がする。吾妻ひでお『定本・不条理日記』購入。太田出版から出たやつ。他に、『夢見る惑星』4巻(佐藤史生)、『サイレンの村』(伊藤潤二)、『神童』3、4巻(さそうあきら)購入。
- 「まんだらけ」にはステージがあって、コスプレをした女性(店員なの?)がアニメソングみたいなのをカラオケで歌っている。噂にはきいていたけど、実際に見ると脱力する。それをオタク青年たちがステージの下かぶりつきで観ていて、その周辺はなかなかに正視しがたい雰囲気をかもしだしていた。
- 帰りの新幹線で『バトル・ロワイアル』(高見広春)読了。中学生42人を孤島に隔離して殺しあいをさせる、という設定は確かに異様かつ悪趣味で、新人賞選考委員たちが拒絶したというのはよくわかる。しかしながら、人が生きるか死ぬかという極限状況に置かれた時に、どのようにモラルが崩壊し、あるいは保持されるのか、というテーマは、実は非常に魅力のあるテーマだと思う。たとえば、僕にとってのオールタイムベストの一つである『人間の條件』(五味川純平)などは、このテーマ深く掘り下げた名作だと思うし、ほかにもいくつかの戦争小説、映画などで、このようなテーマは描かれている。
では『バトル・ロワイアル』はどうか、というと、残念ながら、そこを深く掘り下げることはできていないと思う。40人近くが次々と死んでいくのだが、なんというか、それぞれの死がゲーム的に、軽薄に処理されているような印象をうける。これはフィクションです、登場人物は作者の駒です、というエクスキューズが透けて見える感じ。おそらく作者は40人という大量の死を描くことによって、つまり、個々の死の質よりも、その量、死のシチュエーションの数によって、この物語をユニークなものにしようと意図したのだろう。そしてその副作用として、個々の死の印象は薄れてしまった。死んでいったそれぞれの個人には、それぞれに「生きたい」と思う強い理由があり、しかし「殺せない」という強い葛藤もあったはずなのに、その矛盾が深く描かれることはなかった。最終的に生き残る主人公たち3人も、正当防衛の場合以外は「殺さない」という、モラル的には安全な立場に最後まで立ち続けたまま終わってしまった。
長くなったのでまとめると、生命とモラルが鋭く矛盾するような状況を描きながら、その矛盾を十分に描ききっていないという点で、不満が残る、というのが僕の感想。(でも、それを描き切ったら、読むのがつらすぎてエンターテインメントにはならないか)。
1999.05.02
- 午前中はマックをいじったり、「ムトゥ 踊るマハラジャ」のビデオを観たりして、午後から買い物にでかける。『ジョジョの奇妙な冒険』63巻(荒木飛呂彦)購入。
- 古本屋で文庫を数冊購入。今ネット上巡回経路で話題になってる異星人「ケララ」が登場する『宇宙衛生博覧会』(筒井康隆)、『ブラック・サンデー』(トマス・ハリス)、『テクニカラー・タイムマシン』(ハリイ・ハリスン)、『桃尻娘』(橋本治)。『桃尻娘』は、ネット上巡回経路で最近よく見る「玲奈」という名前がきっかけで急に読みたくなった(←深い意味はない、単なる連想ゲーム)んだけど、本棚を探してもなぜか見つからなかったので購入した。『その後の仁義なき桃尻娘』『帰って来た桃尻娘』『無花果少年と瓜売小僧』は2冊づつあった(これは僕とつれあいがそれぞれ買ったためと思われる)のに、どうして初巻が見当たらないのか。不明だ。
- 『カウボーイ・ビバップ』最後のサントラ『Blue』購入。
- NHKスペシャル『人体 III』の第1回を観る。ゲノムに関する基本的な知識や、発生関係の話など。話の中味はともかく(いや、ともかくとか言っては失礼か、入門としてはよくできていたと思います、あまり真面目に聞いてなかったけど)、研究者から提供されたいろいろな映像が面白い。ああいうのを見る機会は僕らもあまり無いので、けっこう感動する。
1999.05.01
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