映画 『エンディングノート』 を観ました。 末期ガンを宣告された砂田知昭さんの最期を、娘である砂田麻美監督の目を通して描いた映画です。 ドキュメンタリー映画としてはすごく良いと思うのですが、全編を通して砂田麻美監督のナレーションで進んでいくことに違和感を覚えました。 そのあたりの経緯はほぼ日刊イトイ新聞に掲載されているのですが、その経緯を知った上で観ても、やはり違和感を覚えました。 最初は良かったのですが、途中 「父が…」 などという表現が出てきた時に、観ているこっちは砂田監督の父である知昭さんのことを思い描いてしまうのです。 でも実際は、知昭さんの父、つまり砂田監督の祖父のことを言っているので、一瞬 「あ? あぁ…」 と観ている側に気持ちのブランクが生まれてしまうんですよね。 そういうことが何度かあったので、そこはかなり残念でした。 その件に関して、「やはり急ごしらえでも誰か男性の声優さんを探した方が良かったのでは…」 と思っていたのですが、この感想の書き出しを考えていた時、「あぁ、そうか…」 と思いました。 この映画は、娘である砂田監督の目を通して描かれているので、誰がナレーションを担当したとしても結局違和感を覚えてしまうのです。 ナレーションは知昭さんの立場で語られているから、目線と言葉が一致しないのです。 偉そうな言い方になってしまって申し訳ありませんが、ナレーションは目線である砂田監督の言葉で紡いでほしかったように思います。 まぁ、そんなことを思いつつ、良い映画だったと思います。 1人の人間の最期を描いた映画であると同時に、ものすごく幸せな家族を描いた映画でもあると思います。 亡くなることは悲しいけれど、それはみんなに平等に起こること。 そのことを踏まえた上で、段取り良く最期を迎える、そして最期を見送ることができたのは本当に幸せなことだと思うのです。 そして、それが映像として残っていることもすごく幸せなことだと思います。 観る前は 「もしかしたら、しばらく気持ちを引きずってしまうかも…」 と思っていたのですが、ずっと淡々と、本当に淡々と過剰な演出もなく流れていくので、観ているこちらも割とさっぱりした気持ちで映画館を後にすることができました。
この映画が上映されている横川シネマには今回初めて行ったのですが、予想以上の映画館でした。 ある程度予想はしていたのですが、その様子を知ってしまうと、2回目以降行く勇気が出るかどうか………、たぶん無理だな。 今後は観たい映画の上映が決まっても、DVD のリリースを待ってしまうような気がします、はい。
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