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勾配法によるオプティカルフローの推定

動画像から対象の動きのパラメータを時空間微分から推定するための方法とし て勾配法がある。この方法では、``物体上の点の明るさは移動後も変化しない'' という仮定から時空間微分とオプティカルフローとの関係式を導出し、それを 利用して対象の動きを推定する。

今、時刻 $t$ における画像上の点 $\mbox{\boldmath$r$} = (x,y)$ の輝度値を $I(x,y,t)$ とし、微小時間 $\Delta t$ 後に対象が $\mbox{\boldmath$u$} = (\Delta x, \Delta y)^T$ だけ移動したとする。このとき、点の明るさが移動後も変わらないとすると、

\begin{displaymath}
I(x,y,t) = I(x + \Delta x, y + \Delta y, t + \Delta t)
\end{displaymath} (18)

が成り立つ。今、右辺を Taylor 展開すると、
\begin{displaymath}
I(x,y,t) = I(x,y,t)
+ \Delta x \frac{\partial I}{\partial...
...{\partial y}
+ \Delta t \frac{\partial I}{\partial t}
+ e
\end{displaymath} (19)

となる。ここで、$e$ は、$\Delta x$, $\Delta y$, $\Delta t$ に関する高 次の項であるが、これを無視し、両辺を $\Delta t$ で割り、 $\Delta t
\rightarrow 0$ とすると、
\begin{displaymath}
(\nabla I)^T \mbox{\boldmath$u$} + I_t = 0
\end{displaymath} (20)

という関係式が得られる。ただし、 $\nabla I = (\frac{\partial
I}{\partial x}, \frac{\partial I}{\partial y})^T$ および $I_t =
\frac{\partial I}{\partial t}$ である。

もし、局所領域内の各点のオプティカルフロー $\mbox{\boldmath$u$}$ が等しいと仮定できるな ら、局所領域内で上記の関係式が最小2乗誤差の意味で最も良く当てはまるよ うな $\mbox{\boldmath$u$}$ を推定すればよい。つまり、局所領域 $R$ で2乗誤差

\begin{displaymath}
E = \sum_{\mbox{\boldmath$r$} \in R} ((\nabla I)^T \mbox{\boldmath$u$} + I_t )^2
\end{displaymath} (21)

を最小とする $\mbox{\boldmath$u$}$ を重回帰分析を用いて求めればよい。



平成14年7月19日