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線形判別分析による認識

画像認識のためには、各クラスをなるべく判別するような線形写像を構成するために 線形判別分析を用いことができる。

今、初期特徴ベクトル $\mbox{\boldmath$x$}$$K$ クラスのサンプル集 合 $C_k = \{\mbox{\boldmath$x$}\} \ (k=1,\ldots,K)$ が与えられているとする。 線形判別分析は、より少い次元で、しかも、クラス間の分離を最大限強調する線形写像

\begin{displaymath}
\mbox{\boldmath$y$} = A^T \mbox{\boldmath$x$}
\end{displaymath} (368)

を構成する多変量解析手法である。2章で述べたように最適な係数行列 $A$ は、固 有値問題
\begin{displaymath}
\Sigma_B A = \Sigma_W A \Lambda , \ \ \ A^T \Sigma_W A = I_N
\end{displaymath} (369)

の解として求まる。ここで、$N$ は判別空間の次元で、 $N \le min(K-1,m)$ である。 また、$\Sigma_B$ および $\Sigma_W$ は、それぞれ、クラス間共分散行列およびク ラス内共分散行列である。判別分析によって得られた新特徴 $\mbox{\boldmath$y$}$ は、与えられ たクラス間を最も良く判別する特徴としての意味を持つ。

未知の画像が与えられた場合の識別は、例えば、その画像の特徴 $\mbox{\boldmath$x$}$ から式 (8.21) を用いて新特徴 $\mbox{\boldmath$y$}$ を計算し、 それに最も近いクラス平均ベクトル $\bar{\mbox{\boldmath$y$}}_k = A^T\bar{\mbox{\boldmath$x$}}_k$ を持つ クラスに決定するなどして実現できる。



Takio Kurita 平成14年7月3日