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類似画像検索の手法

次に、以上のようにして構成したSF空間を利用して、類似画検索を実現する手法を示 す。

GF空間からSF空間への写像を構成するために用いた学習用画像集合 $G$ が、データ ベース中の全画像の特性を代表するように選ばれていれば、上記の方法で構成したSF 空間は、任意の画像間の類似度に関して利用者の主観を反映する空間となる。従って、 例示画のSF空間での表現 $\mbox{\boldmath$y$}$ を(9.1)式あるいは (9.7)式により計算し、この空間上で $\mbox{\boldmath$y$}$ に最も近い画像を類 似画の候補として検索すれば、利用者の主観を反映した例示画からの類似画検索が実 現できる。

従って、例示画からの類似画検索の具体的な手順は次のようになる。

類似画像検索の手順
  1. GF空間からSF空間への写像(変換行列 $A$ )を、サンプル画像集合 $G$ に対して構成しておく。

  2. データベース中の全画像に対して、SF空間での表現を(9.1)式あるいは (9.7)式を用いて、あらかじめ計算しておく。(これは各画像に対する索引を作る ことに対応する。)

  3. 例示画 $g$ に対して、その画像特徴ベクトル $\mbox{\boldmath$x$}$ を抽出し、式 (9.1)あるいは式(9.7)を用いてSF空間での表現 $\mbox{\boldmath$y$}$ を計算する。

  4. SF空間上で例示画 $g$ に対する表現 $\mbox{\boldmath$y$}$ と(ベクトル間の ユークリッド距離が)最も近い表現を持つ候補画像をデータベースから検索する。

この手順は例示画に最も近い画像を一つだけ検索するものであるが、もちろん、近い 順に複数の候補画像を検索することも可能である。

SF空間上での距離による検索を効率的に行なうには、$k-$近傍探索のアルゴリズム [28]等を用いることができる。例えば、$k-$近傍探索アルゴリズムを用 いると、データベース中の画像の総数 $n$ に対して、平均的に $O(\log(n))$ の時 間で検索できるようになる。



Takio Kurita 平成14年7月3日