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まず、線形重回帰分析および数量化1類がどういう意味で非線形の手法の近似になっ
ているかについて考察する。非線形重回帰分析の解の式(2.116)の
のかわりに、その最小2乗線形近似
を代
入すると、
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(135) |
となる。これは、まさに、線形の重回帰分析の解と同じである。 すなわち、線形重
回帰分析の最適線形写像は、最適非線形写像にあらわれる条件付確率
をその最小2乗線形近似
で置き換えたも
のに等しい。
同様に、非線形の数量化1類の解 (2.34) の
に、その最小2乗線形近似
![\begin{displaymath}
L(\mbox{\boldmath$v$}\vert\omega_i) =
p(\mbox{\boldmath$v$}...
...{U}^{-1}(\mbox{\boldmath$u$}_i-\bar{\mbox{\boldmath$u$}}_T)+1]
\end{displaymath}](img402.png) |
(136) |
を代入すると、
 |
(137) |
となる。
以上の結果から、線形重回帰分析および数量化1類は、条件付確率の線形近似の意味
で、非線形の重回帰分析および非線形の数量化1類を近似しているとみなすことがで
きる。
次に、非線形重回帰分析で得られる最適な非線形写像
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(138) |
を、
の線形写像
で最小2乗近
似することを考えよう。この場合、
と
の平均2乗誤差
は、
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(139) |
で与えられる。これを最小とする係数
および
は、やはり、
となり、線形重回帰分析によって得られる線形写像と同じものとなる。つまり、線形
重回帰分析によって得られる最適な線形写像は、実は、非線形重回帰分析によって得
られる最適な非線形写像を最小2乗線形近似したものに他ならないといえる。また、
この時達成される
と
の平均2乗誤差は、
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(141) |
である。一方、線形重回帰分析により達成される最小2乗誤差
および非線形重回帰分析によって達成される最小2乗誤差
は、それぞれ、
であるから、これらの最小2乗誤差の間には、
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(143) |
という関係が成り立つ。これは、線形重回帰分析で達成される最小2乗誤差が、非線
形重回帰分析で達成される究極の最小2乗誤差と最適な非線形の写像を最小2乗線形
近似した時の2乗誤差とに分解できることを意味している。
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Takio Kurita
平成14年7月3日