Wandering Position

横浜のBankArt Studio NYKの全館に展開して開催されている、柳幸典さんの大規模な個展「Wandering Position」を見てきました。持ってくることが物理的に不可能な作品を除くと、これまでのキャリアにおける作品展開のほぼあらゆるシリーズ(プロジェクト)が一同に集まった、すごいボリュームの展覧会でした。

1FはRed, White and Blueのドローイングをはじめとする初期の作品と、(ネオンではなくて)LEDによる新作のArticle 9(バイリンガル!)など。
2Fには最初期のものを含むAnt Farmのシリーズと、アルカトラスプロジェクトやThe Forbidden Box、広島にもなじみのあるあきつしまのシリーズなど、代表作がずらりと展示されています。
そして3Fは近年の瀬戸内海の島々での活動の紹介と、犬島の精錬所の巨大な体験型コンセプトモデル、公的な施設等ではなかなか展示される機会のなかった作品を経て、靉光の『眼のある風景』へのオマージュでもある新作へと続きます。

オープニングでは柳さん自身によるGround Coloring Projectのパフォーマンスも行われました。
意外とガラスケースの外まで煙たくなって非常ベルが鳴るという事態に、ハプニングなのか演出であったのか分かりませんが、会場は盛り上がりました。

自分自身、学生時代に初めて目にしてものすごく衝撃を受けたAnt Farmシリーズですが、これほどの数の作品を一度に見られることはめったに無いので、今回の展覧会はとても貴重な機会です。
もちろん、これまでに目にしたことのある作品も少なくないわけですが、最後の新作も含め、政治的なメッセージ性においても攻めている作品が盛りだくさんであり、いろいろな意味で刺激的な展覧会でした。12/25まで。

11/12まではBankArt studio NYK近くのギャルリー・パリでも個展が開催されており、3Fの新作に関連したドローイングなどが展示されています。そちらもぜひ。