近況

オオイタサンショウウオのミトコンドリアゲノムを決定しました。

都立大の岡宮さん、大分大の永野さんらとの共同研究で九州から四国に産する止水棲サンショウウオ、オオイタサンショウウオ Hynobius dunni のミトコンドリアゲノムを決定しました。

*Igawa T, Okamiya H, Ogino H, Nagano M, Complete mitochondrial genome of Hynobius dunni (Amphibia, Caudata, Hynobiidae) and its phylogenetic position. Mitochondrial DNA Part B Jun 2020. [ DOI | http | PDF ]
オオイタサンショウウオのミトコンドリアゲノム模式図

 元々はオオイタサンショウウオの遺伝マーカー開発を目的として始まった仕事ですが、シークエンスを生物技研さんに依頼したところ、思いのほか大きなデータ量を送っていただきました。ただリードデータを使うのももったいないし、もしかしたら何も処理せずともミトコンドリアゲノムぐらいは決定できるのではないかと思い、いろいろなパイプラインを試したところ、見事に決定できました。Coverage depthもすべての領域で500を超えているのでかなり高精度なゲノムデータです。
 実はこのシークエンスデータは生物技研さんにDNBseqのデモとして無償でやっていただいたので、実質この論文に投資した費用はDNA抽出に要した試薬代、100円です。

 また、データが出てから速攻で論文書いて投稿したので、確かデータをもらってからアクセプトまで一カ月ぐらいでしょうか。最近は研究に向けられる時間が半分になっている上に新しいことを試行錯誤する時間が多いのですが、自分の枯れた技術でも活かせる部分があり、必要とされるのであれば、今後も協力させてもらいたいと思っています。

 今回は無償でやっていただきましたが、おそらく今取り組んでる方法を使えば、ミトコンドリアゲノムを1種あたり1万円もかからず、決定できると思います。
 自分自身はフィールドから足が遠のいていますが、進化学の面白さはフィールドから始めると思っています。すでに何人かの方と共同研究を進めていますが、遺伝マーカーを使った個体群動態調査に興味がある方がおられれば、ぜひお声がけいただければと思います。

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