近況

Nanoporeシーケンサーを使ったツチガエルマイクロサテライトマーカーの開発と遺伝的多様性に関する論文が掲載されました。

島根大学生物資源科学部の高原先生、冨加津さん(大学院生)らとの、ツチガエルのマイクロサテライトマーカーの開発と遺伝的多様性についての共同研究がEcological Research誌に掲載されました。

地域によって異なる性染色体を持つツチガエルについてはこれまで性決定遺伝子についての共同研究を進めてきましたが、個体群動態や個体識別を行える遺伝マーカーについてはこれまで報告されていませんでした。高原先生らは隠岐島を含むツチガエル地域個体群の個体群動態を調査しており、そのための遺伝マーカーとしてのマイクロサテライトマーカーを開発することを目的に、Nanoporeシーケンサーによるゲノムシーケンスを行ってマイクロサテライト遺伝子座を単離しました。Nanoporeシーケンサーは長鎖シーケンサーとしてコストパフォーマンスに優れた次世代シーケンサーですが、配列の精度が問題とされていました。しかしながら、SQK-LSK110試薬でのシーケンスデータはマイクロサテライト遺伝子座の単離とプライマーの設計には十分な精度があり、14遺伝子座のマーカーを開発することに成功しました。また、このマーカーを用いて集団解析を行ったところ、隣接した地域個体群の遺伝的関係も詳細に明らかにできることが分かりました。

Fukatsu, Y., T. Igawa, K. Sasaki, S. Yamagishi, and T. Takahara. 2025. “ Genetic Diversity in the Wrinkled Frog, Glandirana rugosa, Evaluated Using Microsatellite Markers Identified by Nanopore Sequencing.” Ecological Research 40, no. 6: e70014. https://doi.org/10.1111/1440-1703.70014.

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