0−3.学生さんの能力の把握

(1) 目的・目標・方針


 1) 目的
  @指導時 相手の能力レベル(強み・長所、弱み・短所・弱点)に合わせて指導する。
 →指導を始める前に出来るだけ把握しておく。
  A面接時 ダメ」に該当する人は雇わない(評価を下げる)

(2) 相手のレベルの把握と基準


 1) 規範(倫理観、嘘・正直さ) Norm (normative)
   ダメ ルール守らない。迷惑をかけても良いと思っている。言っても治らない。
自己中心的な(身勝手な・selfish)行動をする。周りの人を思いやらない。
大きな嘘をつく。繕う。
(指導が必要。This is rude to me.)(Thoughtless)
   低い 言うと治る。小さな嘘をつく。
   OK ちゃんとした人。嘘をつかない。正直。Thoughtfull。
 2) 忍耐強さ
 3) 科学に対する姿勢・取り組み方
   ダメ 真剣に研究をしようとする意欲を感じない。
【判断要素】 表面を取り繕うことに熱心である。 点数だけを気にする。
 引用論文を読んでいない。読んでいない論文を引用している。
【どうなるか】 本質の理解に努力できない。捏造をする。
   低い
   OK 研究をしたいという意欲がある。真摯に研究に取り組む。
【判断要素】 Interesting と言う
 4) 科学の理解度
 5) 自分のレベルの理解度
   ダメ 自分のレベル(分かっていないこと)を分かっていない
   低い 何が大事か分かっていない。
   OK 分かっていないことが分かっている。学ぼうという意欲がある。
【判断要素】 参考文献を聞いてくる。教科書を借りに来る。
 6) 言語能力
   ダメ 言葉が通じない(例:通訳が必要な場合)。
   低い 言葉があまり(なかなか)通じない。 →話すことを勧める。
【日本人・中国人の特徴】
Yes、No で答えるときに逆に答える。
   OK 意思疎通に問題がない。
 7) 論理的思考能力
   ダメ ものを教わるときに考えていない。
考えていない相手に時間をかけて指導しても時間・労力のムダ。
まずは考え始めるところから。
   OK な人の行動 Right と言う。
物事を掘り下げる方向のいい質問をする(質問力がある)。
 8) 計画能力
   ダメ 状況分析が出来ない。
場当たり的なことをする。
   OK 長期的視野・長期的展望を持っている。
大局に物事を観ている。
 9) 効率 低い。効率を上げる気がない。
 10) 能力 ・勤労(よく働く?、長くいるだけ?)
・効率の良さ(時間は有限って思ってそう?Time is limited.)
・客観視能力(自分の現状の把握度→修正・調整能力)
・やる気・モチベーション(口だけ?)
・研究の遂行能力
・発想力
・言語能力(英語)
・海外経験
【参考図書】
  ・やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要、27-42ページ)

(3) 評価基準


 1) 論理的思考能力 ある根拠に基づいて判断を下しているかどうか
課題があるときに背景を分析しているか。
文献(学術論文)を調べているか。
分析に基づいて打開策を打てているか。
その打開策を事後に評価しているか。
その評価に基づいて改善できるかどうか。
→論理的思考能力を磨く
 2) 計画性・戦略性 行動に計画性・戦略性があるか
計画・戦略に基づいて行動した場合、事後に顧みることでアプローチの仕方を改善することが出来る。
論理的思考能力がある人でもその場しのぎ・場当たり的な人もいる。
→その場しのぎの人は長期的視点に基づいた良い仕事は出来ない。
→計画能力・戦略能力を磨く
 3) 効率性
博士課程(ポスドク)は3年(2年)であることが多い。
2-3年間で新しいことを学び、新しい結果を出し、学術雑誌に発表するには効率的に作業をする必要がある。
 4) 伸びる力 これまでしてきた仕事内容を見てみて伸びる力があるかどうか
同じ実力の人であれば、伸びる力がある人の方が良い
論理的思考能力や計画能力を自身の成長のために使っているか
→自己投資をする
 5) クリティカルシンキング 物事を批判的に捉えて、新しい事実を見つけることができるか。
→課題研究のときに養う。
 重要性の認知
 適切なアプローチ
 独創性
【参考文献】
  ・やるべきことが見えてくる研究者の仕事術(島岡要、78-79ページ)