1−3.実験室紹介


(1) 方針


 1) 方針
  @原稿 原稿を作る(英語が流暢に話せないので)。
→覚える。
→改善する。
  Aバリエーション 紹介する方がどれだけマルチアンビル実験のことを知っているかに応じて説明の内容を変える。
 ・高圧実験に関わる研究者
 ・高圧実験をしたことのない学生さん
 ・視察に来られた政治家さん
 2) 打ち合わせ
   確認事項
打ち合わせしておく。
  @内容 紹介する方がどれだけマルチアンビル実験のことを知っているか。
  A持ち時間 30分とか。
  B終わる時間 懇親会があるかどうかを確認する。
ある場合には早めに切り上げる。
  C始まる時間 ワークショップの講演が伸びて開始時間が遅れることがある。

(2) 準備(ラボツアー)


 1) 掃除・片付け 実験室の見栄えによる印象も重要。
 2) 概要説明 紹介ポスター(パネル)
 3) 実験説明
  @プレス 事前に予約しておく。
→プレスを用いたデモ
  一段目アンビルの上に二段目アンビルを4個置いて、さらに圧力媒体を置いておく。
  A実験説明
   出発物質 カンラン石(カプセル)
   セルアセンブリー
   パーツ
・川井型マルチアンビル装置用:25M、7/3
・キュービックアンビル装置用
   圧力媒体 ・川井型マルチアンビル装置用:一辺 7 mm、10 mm、14 mm、18 mm、25 mm
・キュービックアンビル装置用
   二段目アンビル ・川井型マルチアンビル装置用:一辺 32 mm、54 mm、(26 mm)
・6-6加圧方式用二段目アンビル
   ガスケット
   圧力較正曲線
 

(3) 自己紹介


 1) 挨拶 はじめまして。
Good morning. (Good afternoon.)
 2) 自己紹介 バイエルン地球科学研究所で助教をしております川添貴章と申します。
I am Takaaki Kawazoe. And I work here BGI as a staff scientist and the laboratory manager of this multianvil lab.
今日はマルチアンビル高温高圧実験室の紹介をさせて頂きます。
I would like to introduce our multianvil laboratory.
宜しくお願いします。

(4) 研究手法


 1) マルチアンビル装置 バイエルン地球科学研究所にはマルチアンビルプレスが7台有ります。
これは世界最大規模になります。
他にマルチアンビルプレスが7台有る大学・研究所は私の知る限りでは有りません。
こちらのホワイトボードをご覧下さい。
よく使用されている3台のプレスはほぼ毎日使用されています。
標準的なプレスが3台、大容量試料に特化したものが1台、
27 GPa 以上の圧力発生に特化したものが1台有ります。
さらに変形実験に特化したマルチアンビルプレスが2台有ります。
この実験室ではこれらのマルチアンビル装置を使うことにより、26 GPa・3000 K までの実験や
45 GPa・2000 K までの実験が出来ます。
 2) セルアセンブリー こちらはカプセルに詰めた出発物質です。
試料の大きさは直径2 mm、長さ2 mm 以下です。
こちらは圧力媒体です。
この圧力媒体に試料・カプセル・ヒーター・熱電対などを組み込みます。
この圧力媒体をこれらのアンビルで圧します。
タングステンカーバイドで出来ています。
 3) 試料体積 より高い圧力を出すためには力をかける面積を小さくする必要が有ります。
そのためより高い圧力の実験では圧力媒体がより小さくなります。
それにより試料がより小さくなって直径0.5 mm 程になります。
大容量プレスと言いますが、高圧実験の試料はこのような大きさです。
 4) 発生圧力 2000 K という高温下において45 GPa までの実験が可能になっています。
 5) データ取得
  @回収試料分析 主に回収試料を分析します。
SEM、EPMA、TEM、X線回折、ラマン散乱測定、赤外吸収測定、メスバウアー測定、ICP-mass などです。
  Aその場観察 電気伝導度測定や熱伝導度測定といったその場観察も出来ます。
  B放射光実験 またこちらで予備実験をして放射光実験にも出掛けています。

(5) 研究の意義


 1) 何をしているの? 私たちはこの実験室で高温高圧実験をしています。地球惑星深部の構造地球惑星の進化過程を明らかにするための研究をしています。
In this lab, we perform high-pressure and high-temperature experiments.
 2) 地球惑星深部って
   どんなところ?
地球惑星深部は高温高圧の世界です。
地球深部の温度圧力は、深さ約2900 km の核-マントル境界では、135 GPa・数千K にもなります。
  そのためその高温高圧の世界を実験的に再現し、物性測定をしたり回収試料の化学分析をすることにより研究を進めています。

(6) 研究対象


 1) 地球科学 実験の対象物質・組成としましては、
 ・マントルの主要な岩石であるカンラン岩、
 ・中央海嶺などで噴出した玄武岩マグマが高圧相転移して出来たエクロジャイト、
 ・これらの組成のものが高温高圧下で構造相転移して出来る色々な高圧鉱物、
  例えばウォズリアイト、リングウッダイト、ブリッジマナイトなどや
 ・地球深部にも存在していると考えられているマグマなど、
非常に多岐に亘っています。
 2) 物質合成 またこの実験室では超高圧合成が出来るという特長を活かして
地球惑星の研究を離れて新奇物質合成にも取り組んでいます。
 3) 出発物質合成 ダイアモンドアンビルセル(DAC)で使用するための出発物質合成もしています。

(7) 物性など


    研究対象の物性としましては、
構造相転移、相図、粘性率、転位組織、電気伝導度、熱伝導度などが挙げられます。
回収試料の化学分析。
(要、推敲)

(8) 質問


 1) お値段
  @二段目アンビル 一辺32 mm のアンビルは150 ユーロ(2万1千円)です。
一辺54 mm のアンビルは500 ユーロ(6万8千円)です。
  A実験一回 標準的なマルチアンビル装置を使用した実験ですと、240 ユーロ(3万3千円)です。
5000 トンプレスを使用した実験ですと565 ユーロ(7万7千円)です。
 (バイエルン地球科学研究所のCore Facility Program のウェブサイトから引用しています)
実験者の人件費を加えた場合は、さらに上がります。
セラミクスの大部分を日本から買っているので、為替にも影響されます。
 2) 見た目 なぜアンビル表面が輝いているの?
 表面にかかる応力を減らすことでアンビルを長持ちさせるためです。