教育

授業のこと

教育は主に、授業やゼミを通して行います。学部・大学院での主な授業は次の通りです。

数学教育学概論Ⅰ

  • 学部2年
  • 数学教育の全体像を理論的・実践的視座から示す。特に、日本の数学科の目標・内容・方法について解説・協議し、数学教育の理解を促すとともに、数学科教師として適切に判断し行動するための基盤を養う。

    【キーワード】多様な数学(学問、学校、作業場、~)、数学的活動、数学的リテラシーとコンピテンシー

数学教育カリキュラム論

  • 学部3年
  • 数学科カリキュラムの構成原理の理解を深めることによって、教材研究や授業づくりに関わるカリキュラム・メーカーとしての基礎的な能力を養う。

    【キーワード】数学科における資質・能力ベースのカリキュラム、一貫性と関連性、数学と社会のつながり

数学教育史

  • 学部4年
  • 日本における明治以降の数学教育について、通史、主要な人物の活動と数学教育観、使用された教科書、改革運動の理念と成果を中心に学び、歴史を踏まえて現在の数学教育に関わる諸問題や今後のあり方を考察するための発展的な能力を養う。

    【キーワード】通時的考察と共時的考察、数学教育の改革運動、数学科教科書

その他,教育実習の事前・事後指導にあたる授業も担当しています。

(参考1)Sfard, A., & Cobb, P. (2014). Research in mathematics education: What can it teach us about human learning.

(参考2)Confrey et al.(2009).Equipartitioning/splitting as a foundation of rational number reasoning using learning trajectories. In Tzekaki et al. (Eds.). Proceedings of the 33rd Conference of the IGPME, vol.2, pp.345-352.

子どもと学習材デザイン基礎研究

  • 大学院
  • 子どもの数理認識の実態や基礎理論、汎用的理論を参照しながら、発達のための適切な学習環境およびそこで取り組ませるべき課題をデザインするための原理を導出し、学校内外の教育実践の場で活用可能な学習単元として具体的に構想する能力を養う。

    【キーワード】数学学習観(参考1:Sfard & Cobb,2014)、認知と認識、思考水準、学習軌道(参考2:Confrey et al.,2009)、学習材開発の原理と実践

その他,大学院内の共通科目にあたる授業も担当しています。

学習軌道(参考2)とは、研究者が推測し実証的にも支持される、順序立てられた概念的構成物のネットワークを記述したもの(Confrey et al.,2009)。

そのネットワークは、生徒による活動、取り組む課題、用いるツール、相互作用の形態、評価の方法からなる。

ゼミについて(卒論/修論/博論)

学部・大学院共、ゼミのテーマ・ジャンルは問いません(※強要はしませんが誘惑はします)。得手不得手はありますが、教育研究である以上、どこかにつながりがあると思います。

心構え

課題解決のため、事象理解のため、新たな価値創造のため、研究は行われます。これらとはまた別の期待もあるでしょう。いずれにしても、調べたり、考えたり、話したり、書いたりしながら、次第にテーマが形になっていき、問いが生まれ、おもしろさに気がついていきます。まさに、知ること・考えること・為すことは一体化しています。

学部は次のようになっています。

ゼミについて

  • 3年ゼミ…ホットなトピックを扱った後(近年は、評価全般と思考力等をみるための方法論が多く、また数学教育を考えるための重要な文献を輪読したりします)、各自・各グループで掲げる課題に取り組み、全体で交流する機会を大切にします。
    テーマ例:学問としての数学と教科としての数学、教材研究という行為、数学科教師の技術と持続的成長、目的・目標の更新、生徒にとっての数学を学ぶ必要性
  • 4年ゼミ…成果を論文にまとめるべく取り組みます。おもしろそうなテーマであれば、たとえ門外漢であってもまずは取り組んでみます。
    テーマ例:記憶の仕組みに基づく数学の効果的な練習、数学での読み・読解力、ICT利活用と深い学び

一方で、大学院は数学教育研究者になるべく鍛えられる場です。そのため、研究の手順、作法の重要度が増します。数学教育研究者とは職名というよりも研究者のように(researcher-like)振る舞う態度のほうを指します。そのため、たとえば先行研究や取り組みのレビューの比重がさらに高まってきます。ググることから始めるにしても、そこから如何にして有用な資料を得るか、というスキルや粘り強さ、感性も数学教育に関わらず研究者として大切です。

  • 修  論…数学教育研究では何が研究されてきたか・されているか、どのような人たちが研究しているか、研究の成果はどのように生かされているかを知ることから始まります。これによって、「何を考えたいか」を次第に明確にしていきます。
    テーマ例:数学的表現の翻訳、身体化理論の数学教育への援用、数学的知識の主観化と対象化、確率カリキュラム開発、数学的アイデンティティ
  • 博  論…自身の研究活動や見込まれる成果が数学教育研究のなかで、またすべての研究のなかでどのように位置づけられるかを問い続けます。研究上のインパクトはなにか?と言い換えてもよいです。そのため「これは自信をもっていえる」がつくられることを期待します。
    テーマ例:コモグニション論を援用した数学に関わるディスコース、ケアリング(配慮関係)による数学教育の編み直し、構築主義(constructionism)の展開と離散数学の可能性

真理の洞察、有用な概念道具の開発など、研究にもさまざまのタイプがありますが、「実践で何が起きたか」を知るべくどのような準備をするべきか等、研究者としての行動リストも様々です。研究方法関連の書籍を片手に網羅的・包括的に学ぶことも大切ですが、修論・博論共、自身の活動を通じて濃淡つけながら次第に身に付けていくよう支援します。