貢献

社会への貢献のこと

大学教員として身に付けたり考えたりしたことを生かすため、研究成果の還元のため、社会の一員であるために行ってきた、最近の「貢献」の一部をあげてみます(今後の開催予定も含む)。

貢献=contributionのコアイメージは「贈ることによって共になること」(con+tribute)。分けて与えるという分配=dis+tributionの逆。
贈与・貢ぎの意味を考え合わせると、一方的に知恵をひけらかすことは、貢献にも分配にもならない可能性がある。

招待講演

以下の要領で、招待講演を行います。

【講演名称】Inclusive Design for Expansive Theory: What We Learn as Researchers When We Develop Educational Resources for Diverse Students
拡張的理論のためのインクルーシブ・デザイン:多様な生徒のための教材開発にあたって研究者として学ぶこと(拙訳)

【講師】Dor Abrahamson(UC Berkeley、Embodied Design Research Laboratory Director)

【日時】2024年12月8日(日)14:00-16:00

【場所】広島大学教育学部 L205(大講義室)〒739-8524 広島県東広島市鏡山一丁目1-1  *対面方式

【言語】英語(通訳有り)

【参加】無料  *9月頃を目処に、申込みのためのformsを開設します。開始しました。直前まで申し付けております。下記のちらしまたは「こちら」(Google Form)より申込みください。

*本講演では,講演者であるDor Abrahamson教授による講演資料が準備されます。対面開催への参加が難しい場合も,参加申込みされた方々宛てに電子配布する予定です。

【主催】科研費基盤研究(B)インクルーシブ理数教育の実現を志向するプラットフォーム構築のための学際的研究(代表:影山和也)

【後援】広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)定例セミナー講演会 No.169

<講演の要約>
感覚運動、認知、文化、民族、言語、その他の違いを持つ学生のためにインクルーシブな教育資源をデザインすることは、倫理的動機に基づく(ethically motivated)広範な人文学的プログラムである。また、これらの新しい人工物や活動を実証的に評価することは、研究者らが認知、学習、教育の新しいモデルを開発する機会を生み出す。特に、多様な学生が文化的実践の社会的実現(the social enactment)にどのように参画するのがよいかを研究することは、研究者らが自らの暗黙的な理論的前提(その前提とは、歴史的に権威主義的で能力主義的、またしばしば特権的な状況(たとえば、生理学的、人間工学的、構造的、地政学的)に根ざしており、それ故に、マイノリティにされた人々の知的未来を望まずとも損ないかねないものである)に気づき、それに挑戦する機会を与えるということを述べよう。さらに、異なる学び方をする学生に対応することは、「普及効果」(curb-cut effect)として知られるユニバーサル・デザインにもつながるような、すべての人にとってより良い道具を作ることになる。本講演は、人間の知覚、認知、学習、社会的相互作用の研究に対するデザインベースの研究アプローチの説明から始まる。そして、私たちのグループである「身体化デザイン研究所」(Embodied Design Research Laboratory)が主導する、多様な学生を対象とした10の共同教育プロジェクトの事例を調べよう。最後に、インクルーシブ・デザインを教育研究および学習科学の大学院課程に取り入れるよう呼びかけたい。



講演者のDor Abrahamson先生(以下、Dor先生)は、2004年にNorth Western大学で学習科学の博士取得の後、カリフォルニア大バークレー校にある「身体化デザイン研究所」(EDRL)を率いて、身体化認知、ダイナミックシステム論、社会文化理論などを駆使した学際的研究を進めています。Dor先生との初めての対面は2016年開催の第13回数学教育世界会議(ICME、ハンブルグ)にて、「数学教育の生態学的ダイナミクス:促進される行為領域における比例的推論の創発」という発表を拝聴したときです。数学的に知ったり考えたりすることが社会と不可分であるという学的潮流と同じくらいに、身体行為ともまた切り離せないという思想を実証的に示す発表として、今に至る興味・関心の方向づけに大きく貢献しています。この度の招聘は、「現代の教育研究においてインクルージョンは当然の観点である」というDor先生との私的やりとりおよび「幾何学習における注意アンカー(attentional anchor)の働き」への関心が相まって実現しました。年末休日の慌ただしいなかですが、多数参会くださると幸いです。

申込みは こちら (Google Form)

講演、研修、セミナー等

研修各県や市で開催される数学科教員研修での講師(広島県、山口県、福岡県、大分県、佐賀県他)
取り組みへの参画年度ごとに開催される取り組みへの参画(尾道市公立小学校、広島県立高等学校他)
大会・研究会でのコメント学会や研究校主催の大会・研究会でのコメント(日本数学教育学会全国大会、日本教科教育学会シンポジウム、大学附属学校他)
テーマはいろいろですが、教育の動向に沿ったものが多いです。特に、学習指導要領の改訂・告示にともなって出されるキーワードは、動向を動かすカンフル剤になっているようです。 シンポジウム「数学カリキュラムの21世紀社会化」(シンポジウム「次期・次世代カリキュラムと数学教育カリキュラム研究に対する期待と展望」(全国数学教育学会第60回研究発表会))。

また、広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)では、さまざまな発信・交流などがなされています。
※広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は こちら

たとえば「教科教育を謳う」と題して、言語・表記・インクルーションの各テーマで連続セミナーを開催しました(2020末-2021)。ここでは、近年の研究関心を生かすべく、学習者が学びたいこと・まだここにないことを共になって学ぶカリキュラム(共創発カリキュラム)の可能性を考えました。

また「インクルーシブ理数教育の勘どころ」と題したセミナーシリーズを始めました。初回は「数学の誤りと支援と指導と他」(2023.03.11開催)として、「誤り分析」を鍵としつつ、算数・数学に関わる支援と指導の理念とあり方を考えました。

開催報告

2024年度は、インクルージョンの観点からみた数学領域と理科領域の差異、教科教育教育研究と特別支援教育研究との関連を扱う予定です。研究の進捗にあわせて随時発信していきます。

学会活動

全国数学教育学会 幹事長 <二期目>
日本数学教育学会 地区理事(中国四国地区)<二期目>
日本数学教育学会 論究部 委員
日本数学教育学会 『数学教育』編集委員
日本教科教育学会 研究企画 <三期目?>
広島県算数数学教育研究 理事 <何期目?>
以上は、令和5年度時点のものです。
他にも年度ごとに開催される各学会の研究大会の実施・運営、委員会活動、国内外学会誌の査読等に関わっています。

委託研究・事業

大学入学者選抜改革推進委託事業<平成28~平成30年度>
※詳細・報告は こちら

その他

ICME-15: Topic Study Group 5.9 [Theories in mathematics education] Team Member

振興出版社啓林館 『わくわく算数』『未来へひろがる数学』幹事<平成18年度~>

尚志会 理事<平成30年度~>
尚志会(しょうしかい)とは、広島大学文学部・教育学部・理学部の卒業生を主体とする広島大学の卒業生で組織されている一般社団法人です。
最近では、オンライン形態を活用したセミナー「学びのフォーラム」も開催しています。11月~12月にかけて、尚志会メンバーによる実践報告や協議がなされています(内容や参加申し込みは、尚志会ウェブサイトから)。