六本木の国立新美術館で開催されている、「ルーヴル美術館展」と「マグリット展」の二つの展覧会。今回はどちらかだけかなと思っていたら、六本木アートナイトの夜ということで、思いがけず両方見ることができました。
どちらか片方しか見られないかもしれないと思っていたので、まずは初来日のフェルメールから見に行っておこうと、ルーヴルのチケットを買ってギャラリーへ。
結論的にはルーヴル展というよりはフェルメールの天文学者展という方がふさわしい感じで、フェルメールが来るときというのはだいたいいつもその他当時の風俗画一式とセットではありますが、天文学者を見るためだけにお金を出すような展覧会です。
もちろん、ルーヴルのようなコレクションがあればそれなりに一貫したテーマの作品を集めて展覧会を構成できるとは言え、見るべき作品が多くあるかと言うとそれはまた別の話で、個人的にはユベール・ロベールが最後に来たのはヒットでしたが、それ以外はあまり印象に残る作品はありませんでした。
おまけに肝心のフェルメールの天文学者はと言うと、これまでに見たフェルメールの作品の中でも特にいまひとつピンとこない感じでした。ルーヴルで見たかどうかもはっきり覚えていないくらいなので、まあ私にとってはそういう作品なのかも知れません。
たった一点の作品だけで展覧会が成立するというのはすごいことだとは思いますが、極端な言い方をすると、フェルメールが見たければお金を払って見ればよし、そうでなければ迷わず2階のマグリットに行くべき、そういう感じの展覧会でした。
一方のマグリット展。ルーヴルを早々に見終わってしまい、思いがけず時間が残ったので、改めてチケットを買ってギャラリーへ。これがちょっとした後悔をもたらすことに。
久しぶりのマグリットの回顧展ということですけれども、こちらの展覧会は素晴らしかったです。マグリットの展覧会は国内でも比較的頻繁に開催されているのでしょっちゅう見ている方だと思いますが、これほどの規模の展覧会を見るのは学生時代以来でしょうか。ルーヴルに先に時間を使ってしまったことを本当に後悔しました。マグリット展にもっと時間をかけて見たかったところです。見ないと絶対後悔するレベルの、本当に素晴らしい展覧会でした。
シュールレアリストとしての作風を確立する前の作品や、晩年に表現が回帰していく前のあまり評価の高くないフォーヴィズム的な時代の作品も含め、かなり網羅的に作品が用意されています。
教科書的な「外せない」作品も概ねひと通り揃えられていて、良く集められたなあと言いますか、とても見応えのある構成でした。
欲を言えば光の帝国のIとIIを一緒に見たかったといえばそうですが、それは無理な要求というものでしょう。
京都に巡回するようなので、関西方面の方は是非。