細長いあれ

情報源: ジャコメッティ展|企画展|展示会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

新美術館でのジャコメッティ展です。没後50年ということもあるのか、会期がテート・モダンのジャコメッティ展ともろかぶりというのが少々気にはなったわけですが、ではテートまで見に行くほど好きかと言われるとそこまで好きというわけでもなく、3階のアートライブラリに行く用があったので、寄ってきました。

パリのジャコメッティ財団からはテートへ、日本へはマーグ財団美術館から、ということで、展覧会の主要な部分はマーグ財団美術館のコレクションと、神奈川県美の矢内原コレクション、その他国内にある幾つかの美術館から借りられたもの、という内容でした。広島市の持っているものは来ていませんでした。

初期の作品から、極小時代、そして細長いあれと、一通りの作品を概観することができます。ハイライトはチェースマンハッタン銀行のプロジェクトと、ベネチアの女シリーズです。

チェース・マンハッタン銀行—イサム・ノグチのサンクンガーデンとデュビュッフェのあるところ—のための大きな作品は、ジャコメッティ本人は気に入らなかったようですが、デュビュッフェの作品よりはあのプラザには似合う気がします。展覧会場でここだけが撮影可なのですが、子供たちが彫刻と同じポーズをとって記念撮影したりしているのがとても良いなと思いました。外に展示できればもっと良いのでしょうけれども。

ベネチアの女にシリーズも8作品揃って見られるのは壮観です。が、配置は…写真写りを意識しすぎな気がします。テートの方のベネチアの女はもともとビエンナーレに出したときの作品6点を含む石膏の8作品ということなので、そう言われるとそちらも見てみたかったという気がしてきます。

新美術館に来ているのはマーグ財団美術館からと言うことで、ジャコメッティの素描と、その版画がたくさん見られるのも見所なのであろうとは思います。これまでほとんど見たことはなかったのですが、面白いと思ったのは、ジャコメッティ自身が見たままを表現しようとした結果、立体としてはあのような細長いプロポーションの作品になっていった一方で、素描で平面に写し取られた風景や人物のプロポーションは極めて正確であることです。
不思議です。

そういった意味で面白かったのですが、回顧展と言いつつ立体の作品数はそれほど多くもないので、全体としてやや物足りない感じは否めませんでした。それほど時間もなかったので、それはそれでちょうどよかったわけですが、これだけをわざわざ見に行っていたら正直がっかりしていたかもしれません。