雑記

[読書記録] 小沼通二・湯川秀樹日記

昭和9年(1934年)に湯川秀樹が中間子論を発表するまでの本人の日記。家族思いな本人の行動や研究者との交流、草野球の練習など日常があって面白い。日記の文字には崩しがあって素人にはとても読めないが、よく解読してある上に、脚注に人物や当時の事物の解説が書いてあって、これも当時を想像するのに役立つし、面白い。当時の湯川は27歳だから、とても若い。学部から副手になって京大と阪大の講師になったあたり。この本にあるように量子統計学と量子力学から現代の量子力学を作り出したハイデルベルクとディラックも20代前半で主要な業績を上げているから、野心的な時代に好奇心の強い若い世代が活躍できる素地があったのだろう。
個人的には時代背景なのか、分野なのか、平日でも日常が垣間見えるのが羨ましい。もっとも机上というか、脳内ではずっと核力のことなどを思考されていいたのだろうが。

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