[読書記録] 岩名地正・冒険日和
フランスの大西洋横断ヨットレース、ミニトランザットに1999年に日本人で初めて出場した岩名地正さんによる体験記。ヨットに関する技術よりも、準備期間のお金や生活のこと、フランス人との交流についてが主な内容。よほど恵まれた人でない限りレース用ヨットを購入できる可処分所得などないのは当然で、そんな状況にありながら、ポゴ(POGO、本文にはときおりボゴとも。誤植?)というレース用の小さなヨットをフランスの造船所に寝泊まりしながら自らの手で作製して出場した著者の奮闘はヨットセーラーの中でも抜きんでたものだと思う。ただ、少し残念なのはそれを含めての評価を世間に期待してしまう部分で、本書を読めば理解はするのだが、表面的な実績しかわからない一般の人にはなかなか理解できないと思われる。特に人生における冒険に対する共感が薄い日本ではよほど難しいのかもしれないとも思う。