温泉ガエルの長期高温耐性に関する論文が2024年度のZoological Science Awardを受賞しました
2024年度に学位を取得した指導学生のBagus Priambodo氏(現・Universitas Negeri Malang マラン州立大)が筆頭著者の温泉ガエルの長期高温耐性に関する論文 “Long-Term Heat Tolerance and Accelerated Metamorphosis: Hot Spring Adaptations of Buergeria japonica”が2024年度のZoological Science Award(論文賞)を受賞しました(動物学会・お知らせ)。
Zoological Science Awardは昨年度にZoological Science誌に発表された論文の中から、特に評価の高い論文に贈られる賞で、本論文は5報の論文のうちの1報として選出されました。
本研究では、温泉ガエルとして知られるリュウキュウカジカガエルB. japonicaおよび同属の複数種のオタマジャクシについて、異なる温度環境における長期の耐熱実験を実施した。その結果、B. japonicaは同属他種よりも高い耐熱性を示し、特にセランマ温泉の集団が高い生存率と発生速度の促進を示した。しかし、35℃以上では変態を終えるまで生き延びることができなかった。また、発生が進むに伴って高温志向性が低下することも示され、高温耐性は実際には発生中の一時期に限られる可能性が示唆された。これは温泉ガエルの高温適応に関して新たな知見を与える研究であり、高く評価された。
受賞論文
Priambodo B, Shiraga K, Harada I, Ogino H, *Igawa T, Long-term heat tolerance and accelerated metamorphosis: Hot spring adaptations of Buergeria japonica. Zoological Science 41: 424-429 June 2024. [ DOI | http | PDF ]