追悼・Nia Kurniawan博士
2025年9月28日、大学院時代に机を並べた友人であり、長年の共同研究者であったNia Kurniawan博士(インドネシア・Brawijaya大学教授)が亡くなった。まだ若い46歳だった。
私を含め良く知る人たちは彼をWawanさんと呼び、彼の生来の人懐っこい性格とすこしおどけたような態度は、いつも周囲を明るく穏やかな雰囲気にしてくれていたと思う。少し前から持病の状態が良くないということで心配していたが、5月に教授に昇任していたので、これからの活躍を期待していたところだった。
大学院の入学は私の入学の2年後で私の方が学年的には先輩だったが、年齢的には逆に彼の方が2歳年上だったので様々な部分で良い兄貴分として一緒にいることが多かったと思う。卒業後も何度かインドネシアに招待してくれて、学会に参加したり、いろんな場所に行った。特に思い出深いのは2010年のATBC (Association for Tropical Biology and Conservation)とその後の採集旅行だ。Baliで開催されたこの学会の会期中もさることながら、その後のチモール、フローレスに渡っての採集旅行はさながら未開の地を行く冒険の旅で、道中の様子はいまでも鮮明に思い出すことができる。一つ一つの出来事やトラブルもその場でなんとかなっているので最初から笑い話だが、いずれもWawanさんという人物が元々持っているパワーのようなもので引き起こされて、そのまま自己解決に至るのを私はいつも横目で見ていた。
お互いに年齢を重ねて、共同研究や後進の育成を通じていろいろと一緒にできる機会があったと思うととても残念だが、昨年、最近彼の下で学部を卒業した学生が私の下で学位を取得したので、後進の芽を一緒に育成することには成功したと思っている。
Wawanさんの冥福と彼の残した家族の幸福を願ってやまない。
