近況

ネッタイツメガエル近交系の表現型多様性に関する論文がScientific Reports誌に掲載されました

井川、鈴木 誠 准教授、島本 百香さん(研究当時、大学院統合生命科学研究科博士課程前期)、鈴木 菜花 技術職員、柏木 昭彦 客員教授、柏木 啓子 研究員、荻野 肇 教授による研究成果が、Scientific Reports誌に掲載されました。

本研究では、モデル生物として広く利用されているネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis)の近交系4系統について、遺伝的特徴と形態的差異を網羅的に解析しました。これらの系統はナイジェリアおよびコートジボワールの自然集団に由来し、同じ飼育環境で長期間維持されています。

解析の結果、体サイズ、体色、爪の形態などに明瞭な系統間差が認められました。また、ナイジェリア由来系統とコートジボワール由来系統との間では、雄の鳴き声の特徴にも違いが見られました。環境条件をそろえて飼育した個体でもこれらの差が維持されていたことから、それぞれの系統が異なる遺伝的背景に由来する表現型の特徴を保持していることが示されました。

特に興味深いことに、同じ創始集団に由来する近交系の間にも、体サイズ、体色、爪の形態などに違いが認められました。このことは、一つの自然集団の内部にも、異なる形質を生み出し、進化の方向性を決定づける多様性が存在していることを示しています。

こうした集団内の多様性は、生物が環境変化に適応したり、異なる進化の方向へ分化したりするための基盤となります。本研究は、ネッタイツメガエルの近交系が、モデル生物として均一な実験材料を提供するだけでなく、表現型の多様化やその遺伝的・発生学的基盤、さらには生物の進化可能性を研究するための有用な研究資源であることを示しました。

Takeshi Igawa, Makoto Suzuki, Momoka Shimamoto, Nanoka Suzuki, Akihiko Kashiwagi, Keiko Kashiwagi & Hajime Ogino
“Inbred strains of Xenopus tropicalis show morphological and genetic variation” Scientific Reports 16, 27194 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-56343-6

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