パナイ島北部・ギマラス島におけるツーリズム開発と漁村社会
鹿児島大学水産学部 准教授 鳥居享司
torii@fish.kagoshima-u.ac.jp
1.エスタンシャ    2.ギガンテス島    3.ギマラス島    4.コンセプシオン    5.アホイ


2.ギガンテス島
1)バランガイ・Asluman
  (1)概要
    ・ 1994年:ネグロス島から移住
    ・ 当地区には11familysおり,みな漁業に従事している
    ・ ナマコや魚類を漁獲する
    ・ 貝類は撮らない
    ・ 海岸に積まれた貝殻は,以前住んでいた人が漁獲をした名残であろう
  (2)ナマコ漁 (ナマコ→balat)
    ・ 漁獲時間:朝7時から午後2時頃まで
    ・ 漁獲海域:水深16フィートほどの海域
    ・ 漁獲時期:11月から2月を除く
    ・ この時期は海が濁り,風も強いため,ネグロス島へ帰島する
    ・ 3月から10月がナマコ漁のシーズン
    ・ 漁獲量:1日1人あたり30kgから40kg
    ・ 資源量:資源量の水準はほぼ維持しているという印象を受ける
    ・ 聞き取り調査を行った彼(Leonilo Carango氏)はwholesaler
    ・ 漁業者から生鮮ナマコを40ペソ/kg(Dagatonは200ペソ/kg)で購入する
    ・ その後,1週間ほどかけて乾燥させる
    ・ 生鮮ナマコ10kgを乾燥させると1kgにも満たない量となる
    ・ 干しナマコ100kgを単位にセブ島へ持参して仲買人へ販売する
    ・ なお,100kgの干しナマコを得るのに12日から20日かかる
    ・ 販売価格:大型ナマコ3,200ペソ/kg,小型ナマコ1,700ペソ/kg
  (3)その他
    ・ Wholesalerの彼は友人から1万ペソを金利無しで借り入れる
    ・ この資金を元にしてナマコを買う
    ・ ナマコ漁に出漁する漁業者に燃料やオイル,米などを先に渡す
    ・ その後,漁獲金額から差し引く
    ・ いわゆる「先渡金」のような存在か?
    ・ Wholesalerにナマコの購入代金を貸す友人というのは仲買人のことではないか?
    ・ 土産物を取り扱っていたが,彼らが作成したものではない
    ・ どこからか買ってきて,セブ島の仲買人へ販売する


Dagaton


Manag


Hanginan


左から Pagdaga, Bua bua, Palin


貝殻の山


貝細工


漁家


2)バランガイ・GranadaのSitio Langub地区
  (1)概要
    ・ 500familys, 3,000人
    ・ その80%が漁業に従事している
    ・ 当地区ではかなり古い時代の土器が多数発見されていることから分かるように,
      ずっと以前より人々が住み着いている
  (2)石干見漁
    ・ 当地区には石干見と呼ばれる潮の満ち引きを利用した伝統的な漁法が残されている
    ・ 石干見は4フィートから5フィートの水深の海域に広がっている
    ・ それぞれ1ヘクタール前後の広さである
    ・ 8つの石干見が使用されており,それぞれのオーナーの名前が付けられている
    ・ 潮位の低い11月から1月を除き,毎月15回ほど漁獲可能
    ・ 石干見は1,500ペソから2,000ペソで売買されている(要確認)
  (3)イカ漁業
    ・ イカ
    ・ 聞き取り調査を行った彼はwholesalerであり,Tainanl Dragon へ販売する
    ・ イカ,魚,scallopは台湾へ輸出される
    ・ 漁業者からの購入価格:大型イカ115ペソ/kg,小型イカ95ペソ/kg
    ・ 仲買人への販売価格:教えてくれなかった!
    ・ Wholesalerは彼の他にも6人存在する
  (4)その他
    ・ 当地区のナマコ資源は乱獲のため枯渇している


バランガイの外観


石干見


カニカゴ


「ロコンロコン」と呼ばれるイカ釣り用の餌木


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