次に、輪郭点列のスペクトル包絡の対数変換に基づいた距離を考える。 一般に、パワーケプストラムは、時系列データのz変換の絶対値の2乗(パワース ペクトル)の対数の逆z変換として定義される。輪郭点列に複素自己回帰モデル をあてはめた時の予測誤差が白色雑音とみなせる場合には、輪郭点列のパワース ペクトル(スペクトル包絡)は、式 (7.29) で与えられる。
従って、複素パワーケプストラム距離 を、
と
のスペクトル包絡の対数の平均2乗距離
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(339) |
次に、この距離を求めるための簡便法を示す。
まず、複素自己回帰モデルにおけるスペクトル包絡は
式 (7.29)で表わせるので、式
(7.28)の分母()の逆数の対数 (
)
のローラン級数展開を考える。ここで、
の極が全て単位円内にある
場合には
のローラン級数展開は
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(340) |
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(342) |
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(343) |
今、二つの輪郭点列
に複素自己回
帰モデルをあてはめて得られる複素自己回帰係数
から、
式(7.46)および(7.49)により計算される複素パワーケプストラ
ム係数が
で与えられているとする。
このとき、複素パワーケプストラム距離
は、各輪郭点列の複素パワー
ケプストラム係数から、
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(345) |
この距離は、実自己回帰モデルにおけるLPCパワーケプストラム距離を、複素 自己回帰モデルに拡張したものとなっている。