工芸とデザインの境目

情報源: 金沢21世紀美術館 | 工芸とデザインの境目

会期の終了間際で見に行きました。
内容的にはそれほど目新しいものはありませんでしたが、ターゲットとしてはデザインや美術を学ぶ学生向けの展覧会なのかなという印象を強く受けました。季節柄、学生らしきグループも多く、展示されている「モノ」を初めて目にした来館者も多いようであったので、そういう意味では企画の意図が伝わっていて良い展覧会だったと思います。

工芸とデザインの違いを解く人は多い。ものづくりとして捉えればそこに境目はあるのだろうか。作者自身の手で作るものを工芸と言い、デザインもその工程に含まれる。デザインはものをデザイナー自身では作らない。工芸は「作品」と言いデザインは「製品」と言ったりもする。工芸を生み出す手の技はデザインの機械の精度と比べても仕方ないがそこに価値の違いが現れる。生み出そうとする気持ちは同じであっても工芸とデザインは相入れようとしない。そこに境目はあるのか。それともそれは「デザイン」なのかあるいは「工芸」なのか。
問うてもしょうがない問いをあえて突きつけてみようとするのがこの展覧会の目論見である。

深澤直人

というのはこの展覧会の監修者のことばですが、実際、デザインや工芸を学ぶ学生にはぜひ見て知っていて欲しい「モノ」ばかりでしたので、展覧会のカタログは一般にも手に入るようですから、ぜひ写真だけでなく、それぞれの現物を見てもらいたいと思います。できればそのなかのひとつでも気に入ったものがあれば使うようになってくれればなお良いと思いますが。

デザインはものをデザイナー自身では作らない。

わけですが、それをあえて自身で作るとなると、限りなく工芸に近づいていくことになり、そこにジレンマが有るわけです。個人的には。
広島に来て以来の大きなテーマです。