「REVIEW」カテゴリーアーカイブ

工芸とデザインの境目

情報源: 金沢21世紀美術館 | 工芸とデザインの境目

会期の終了間際で見に行きました。
内容的にはそれほど目新しいものはありませんでしたが、ターゲットとしてはデザインや美術を学ぶ学生向けの展覧会なのかなという印象を強く受けました。季節柄、学生らしきグループも多く、展示されている「モノ」を初めて目にした来館者も多いようであったので、そういう意味では企画の意図が伝わっていて良い展覧会だったと思います。 続きを読む 工芸とデザインの境目

職業・チューター

広島市内のギャラリー718で開催されている、造形芸術系コース1年生のグループ展、新鉢展を見に行ってきました。

AOの学生を除くと、ふだんはデザインの課題しか見たことがないので、どんな作品を作るのか楽しみにしていました。

それぞれに好き好きもあるとは思いますし、得意不得意の自覚もあったりなかったりだとも思うのですが、そのような個々人の自覚はまた別にして、平面がおもしろい人と立体がおもしろい人といったものが見られて、なかなか面白かったです。

展示の構成やキャプションなども、やっているうちに上手くなることでしょう。今は作品だけで精一杯かもしれませんが、展覧会を見に行った時にも、作品だけではなく、作品の周りにあるものも含めて、良く観察してくれると良いなと思います。

Wandering Position

横浜のBankArt Studio NYKの全館に展開して開催されている、柳幸典さんの大規模な個展「Wandering Position」を見てきました。持ってくることが物理的に不可能な作品を除くと、これまでのキャリアにおける作品展開のほぼあらゆるシリーズ(プロジェクト)が一同に集まった、すごいボリュームの展覧会でした。 続きを読む Wandering Position

Godzilla Resurgence

庵野秀明作品としての映画『シン・ゴジラ』

情報源: 映画『シン・ゴジラ』公式サイト

いまさらながら、それも札幌で、シン・ゴジラを見てきました。

画面の幅いっぱいに広がるくらいに長い明朝体の字幕であったりとか、異常に説明的な長回しのセリフであったりとか、キャラクターの設定も含め、やはりこのゴジラは庵野作品なのだなという映画でした。

この映画に対する評価が日本と海外で全く異なるというのも、それを知った上で見ていると、まあそうだろうなと思うわけです。

「日本人の、日本人による、日本人のための、映画。」

というようなことを書いている人がいましたが、まさにそのような表現がふさわしい映画でした。良い部分においても悪い部分においても、個人や組織としての日本人の特徴を的確に描写していると言えるでしょうし、その点が外国人には理解されにくい、もしくはとても理解できないような部分であるのでしょう。ハリウッド映画であればガッツポーズバンザイハイタッチヒャッハー状態の喜び爆発シーンになりそうな場面でも、まったく異なる感情表現がなされていたところも印象に残りました。

3.11後の放射能汚染の問題とも重なる象徴的なシーンや、近年の国内外の政治的な動きをパロディー化したようなシーンもちょくちょくあり、ラストシーンもいろいろと示唆に富んでいてよかったです。

ともあれ、とても面白い映画でした。

【追記】
ちなみに、我らが科学界のインディ・ジョーンズであらせられるところの長沼先生もクレジットされていますので、みなさんお見逃しなく。

【追記2】
長沼先生のお名前は監修のところしか気づきませんでしたが、キャストにもクレジットされているので、どこかに出演されているらしい件。

Crossing 2016

今年の六本木クロッシングは、「僕の身体、あなたの声」というテーマで、行く前は正直あまりピンと来ていなかったのですが、例年以上にメッセージ性の強い、良い展覧会でした。

特に今年は、1年生の教養ゼミを担当しています。造形芸術系コースの教養ゼミは「ヒロシマ・平和・美術」がテーマになっているわけですが、広島や戦争をテーマにしている作品も多く目につきました。

そのようなわけで、教養ゼミのレポート課題の対象として、すでに指示した施設・展覧会に加えて、今年の六本木クロッシングを追加しますので、これを見に行ってもらっても構いません。

会期中に東京に行く機会があれば、ぜひ見に行くことをお勧めします。

写真は後藤靖香による《あいおいばし》2013年(左)および《芋洗》2008年(右)。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このページ上の六本木クロッシングに関する写真については、 クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 改変禁止 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。

Cy Twombly

原美術館で開催されていたCy Twomblyの展覧会(8/30まで)を先日駆け込みで見てきました。(斉藤おんぶりーさんではない)

ずいぶん久しぶりの原美術館で、中庭にカフェが増築されていたり、奈良さんの常設展示室ができていたりと、いろいろと変わっていました。宮島さんの部屋とかも、以前からあったかな?思い出せないくらい久しぶりの訪問でした。 続きを読む Cy Twombly

ルーヴルとマグリット

乃木坂駅を下りたところで出迎えてくれた二枚のポスター。さてどちらを見ることにするか、と思ったわけですが。
六本木の国立新美術館で開催されている、「ルーヴル美術館展」と「マグリット展」の二つの展覧会。今回はどちらかだけかなと思っていたら、六本木アートナイトの夜ということで、思いがけず両方見ることができました。 続きを読む ルーヴルとマグリット