金属電子論, 超伝導, 磁性,相転移など, 固体物理学の基本的な内容から, 原則的に自由にテーマを選択し, レビュー・レポートを作成します. (レビューの作成) |
(1) 序 卒業研究で何をやろうか考えている学生から 「理論の研究室ってどんなことをやるのですか?」 という質問をよく受けます. なるほど,実験の研究室であれば,何か新しい物質の何かの物理量を 測定したり,新しい物質を合成したり,いろいろと楽しい場面が想像で きますが,「理論」というと, 具体的にどんなことを『する』のか, ちょっと想像しにくいですね. もっともな質問だと思いますので,以下説明したいと思います. (2) 理論物理学の目的と学部4年生の勉強 理論の研究の目的は, 実験や観測によって得られた物理現象を理解したり説明したりすることと, 新しい現象を予測することです. しかし,学部4年生や修士1年生の段階では, なかなかそのような新しいことをするのは難しい場合が多いと思われます. というのは,何か新しいことをするには, かなりの予備知識なり熟練なりが必要になるからです. 例えば,新しいことをするには,過去の研究の積み重ねをある程度理解して いなければなりませんが,ある特定の分野に限っても,その積み重ねはかなりの 分量になります. そのため,学部の4年生の段階では, かなりの勉強をしなければなりません. (もちろん,それも分野や,「新しいことをする」の意味によりますから, 一概には言えないことなのですが.) (3) セミナーでの勉強 というわけで,『する』ことは『勉強』ということになるわけですが, この『勉強』というのが,学部3年生までにしてきた勉強とはかなり 異なってくるので説明が必要です. 具体的には,まずセミナーで, 何かの教科書を読むことになるでしょう. そして,セミナーの他にも,各自興味のある分野について, 様々な教科書や論文を読んだり, 研究室の仲間や教官と議論したり質問したりしながら, 理解を深めていきます. セミナーのこと → もっと詳しく → より詳しく 研究室での議論 → もっと詳しく (4) レビューの作成 理論の卒業研究も,指導教官によって様々ですが, 私が指導する場合には, 卒業研究では,主にレビューを作成することになると思いますので, 各自興味をもったテーマについて,セミナーや,各自の勉強で,理解を深め, その内容を網羅し,詳しい解説もつけてまとめる,という作業をして もらいます. もちろん,文献を理解するときには,そこに現れる計算も 出来る限りフォローしなければなりません. そして,機会があれば,教科書に載っていない問題を与えることもあります. レビューって何 → もっと詳しく |
「将来役に立つか?」という問いには,「役に立つと思う」と答えます.
将来,物理学を研究する職につくことができる場合には,言うまでもないこと
ですが,他の職業につく場合であっても,やはり「役に立つ」と思われます. 本当に役に立つの? → もっと詳しく しかし,役に立つかどうかで, 研究室を選ぶというのは,私に言わせれば, 本末転倒のような気がします. あくまでも学究的な目的,知的好奇心から, 研究室を選択してもらいたいと思います. 本来,大学での勉強とはそういうものではないでしょうか. もちろん,そのようなことが気になるのも理解できるので,「それは心配 いらないと思う」という意味で,わざわざ説明したわけです. ちなみに,就職については,個人的な見解では, 卒業生の皆さんの就職先や,内定の決まり具合を見てみると, 実際,そんなにわるくはないような印象はもっています. |
1. | 学部の講義の内容を基礎とし,内容を地道に積み重ねる方針で勉強します. |
2. | レビューの作成を目標とします 基礎学力が不十分な段階で,意味を十分に理解せずに,いわば付け焼刃で オリジナルな仕事をするよりは,かえって,しっかりしたレビューを作る方が, 価値があると考えています.(もちろん,練習問題として,過去にあまりよく 調べられていないか,教科書には載っていないようなことで,たまたま適切な 問題があれば,それもレビューに繰り込めばよいでしょう.) |
(注:「レビュー」とは,過去の研究の成果を網羅し,まとめ,解説する論文のことです. 「オリジナルな仕事」とは,簡単に言うと,過去に誰も結果を出していない,新しいこと を研究して答えを得ることです.) |
学部の量子力学・統計力学の講義と,卒業研究の間のギャップを埋める目的で, 基礎的な内容を分かりやすく説明するプリントを作成しました. |
対象: | 嶋原の指導学生および嶋原の指導を希望する学部3〜4年生. |
題目: | 「量子統計力学の定式化」 |
「ディラックのブラ・ケット」 | |
「第2量子化法」 | |
「1体問題の量子統計力学」 |