電子顕微鏡のページ

観察のポイント

CCDの上手な使い方

・カメラの使い分け
本センターのTEMにはサイドマウントとボトムマウントの二つのCCDカメラが装備されています。サイドマウントカメラは比較的低倍率(30万倍以下)で、ボトムマウントカメラは高倍率で利用するのが基本です。広い範囲で試料全体の分散状態、組織観察を行いたい場合はサイドマウントカメラを、高倍率で格子像を取りたい場合はボトムマウントカメラを利用します。

・明るさの調節
明るさを調節する方法は複数ありますが、普段使うのは以下の三つです。一つ目はブライトネスつまみを調節する、二つ目はスポットサイズを調節する(数字が小さいほど明るい)、三つ目は露光時間を調節する。ブライトネス、スポットサイズはTEM側の調整、露光時間はカメラ側の調整です。電子線が強すぎるとCCD素子が焼き付いてしまうため、やや暗めが基本です。具体的には、ビームを蛍光板よりも二回りほど大きなサイズに広げ、蛍光板が暗めの緑色(蛍光緑色は明る過ぎ)に見える程度に調整します。最後に、ヒストグラムを見ながらMAXの値が50%を超えないように露光時間を調節します。

・高倍率観察のコツ
本センターの装置は担当者が定期的に軸合わせを行っているため、低倍率観察ではさほど軸合わせを気にする必要はありませんが、高倍率で格子縞を撮像する際にはいくつか注意点があります。①対物レンズの非点補正がきちんとできているか?フィルム時代は難敵だった非点合わせですが、CCDになってからはずいぶん簡単になりました。リアルタイムFFTを見ながら調節すればいいので、担当者からきちんと説明を受ければすぐにできるようになります。②対物絞りは一番大きなサイズを使う。高倍率観察では絞りのサイズが小さいと、しぼり挿入によって発生する収差が無視できなくなります。③スポットサイズを2にする。普段はスポットサイズは1ですが、高倍率観察の際は明るさよりも分解能を優先するため、スポットサイズを2にします。④ウォブラHTを観察倍率で調整する。

EDSの上手な使い方

TEM付属のEDS検出器は非常に繊細な装置です。扱いには十分な注意が必要ですので、担当者の説明をしっかりと受けて下さい。ここに記した内容をいきなりで一人で実行しないようにお願い致します。

TEM-EDS測定では、試料と検出器の位置関係が非常に重要です。位置関係が悪いと試料からの特性X線がまともに検出器に届きません。測定の際は常に、試料と検出器の位置関係を気にして下さい。具体的には、グリッドを縦に真半分にしたときに検出器から遠い側が測定に適した領域です。また、マイクログリッドには裏・表があり、これを間違えるとグリッドに阻まれて試料からの特性X線をうまく検出できません。試料をセットする際には十分注意して下さい。