電子顕微鏡のページ

よくある質問・疑問

光学顕微鏡と電子顕微鏡って何が違うの?

小学校の理科室にある光学顕微鏡は可視光と凸レンズを利用しています。それに対して、電子顕微鏡は電子と電磁レンズを利用しています。

顕微鏡でどれくらい小さいモノを見ることができるのか?は、情報伝達の媒体として利用している物質(可視光や電子)の波長に依存します。原理的に波長の半分よりも小さいモノは見ることができません。可視光の波長は400-700 nm(1 nm = 0.000000001 m)ですが、電子の波長は0.0025 nm(200KVで加速した場合)です。近年、ナノマテリアルという言葉をよく耳にしますが、このナノの世界を観察・分析するのに最も適した装置の一つが電子顕微鏡なのです。

SEMとTEMって何が違うの?

SEMは、試料表面に電子線を走査させることで、そこから発生する様々な情報を取得できる装置です。具体的には、試料表面の凹凸や化学組成などを知ることができます。

TEMは,試料を透過した電子線を利用して、試料内部の情報を得る装置です。具体的には、結晶・非結晶の判別、結晶の場合はその構造に関する様々な情報(転位や欠陥などの結晶構造の歪みに関する情報など)を得られます。

FE-SEMとSEMって何が違うの?

SEMは電子銃の違いによって、汎用SEMとFE-SEM(Field Emission SEM)に分けられます。FE-SEMが装備している電界放出型電子銃は汎用SEMが装備している熱電子放出型電子銃と比べて、電子密度や平行性の高い電子線を生み出すことができます。このため、FE-SEMは汎用SEMに比べて、高分解能、高コントラスト、低加速電圧でも使用可能などの特徴を備えています。

EDSとWDSって何が違うの?

EDSはエネルギー分散型特性X線分析装置、WDSは波長分散型特性X線分析装置です。どちらも試料表面から放出される特性X線を検出することで、試料の化学組成を測定する装置です。EDSは特性X線のエネルギーを、WDSは特性X線の波長を測定しています。EDSのX線検出部には、シリコン半導体型検出器が用いられています。これに対して、WDSでは分光結晶を用いて特性X線の波長を測定しています。両者の大きな違いは、エネルギー分解能と他元素を同時に測れるか否かです。EDSのエネルギー分解能は130-140eV程度、WDSのエネルギー分解能は10eV程度です。エネルギー分解能はWDSが優れていますが、EDSは他元素を同時に測定することができます(WDSはできない)。