ウニの発生 -変態期〜稚ウニ-

バフンウニの場合、16℃で飼育していると受精後55日くらいで変態期を迎えます。変態と言っても、蛹の中で体が作り替えられる昆虫の変態と違い、ウニの場合は、プルテウス幼生の体内に形成された体腔のうのうち、左側の体腔のうだけが成体原基を形成し、これが成長してウニになります。変態期には、成体原基に形成された5つの第一管足が幼生の体表に空いた穴から突き出て動き始めます。


変態により、ウニは浮遊生活を送っていたプルテウス幼生は海底に着底して生活を始めます。右の動画では、第一管足を動かしながら海底に捉まるところを探しているようです。ウニの変態は、エサとなった珪藻から供給される甲状腺ホルモン(TH)によって誘起されます。したがって、エサの珪藻は栄養の供給源であると同時に、THの供給源でもあったのです。


プルテウス幼生の体の左側を下にして着底し、左の動画のようにプルテウス幼生のからだを背負うようにして動きます。その後、背負っていた腕などは吸収され、数時間もすればウニらしい形になっていきます。


左右相称な形態のプルテウス幼生が、変態して五放射相称のウニになりました。ウニの特徴でもある棘も生えています。右の写真では、成体型の棘と幼生型の棘の両方がハッキリと確認できると思います。


はじめは5本の第一管足だけで動いていますが、そのうち管足の数も増えていきます。管足の先端には吸盤があって、この吸盤の力で底面についているのですが、いわゆる吸盤のように吸着面の中央部を持ち上げることで陰圧の空間を作って吸着するだけではなく、何やら吸盤の先端から分泌される物質が吸着を助けているそうです。