ウニの発生 -卵割期-

メスから採取した未受精卵とオスから採取した精子を混合すると、受精が起こりウニの発生がスタートします。精子の進入点より受精膜が形成され、最終的に受精卵全体が受精膜に取り囲まれます。受精後5分くらい経つと、卵の表面に形成された透明層をハッキリと確認することができます。この透明層が、今後割球がバラバラにならないように守ってくれるようです。

バフンウニの場合、16℃で培養すると受精後約90分で第1卵割が起こり、2つの均等な大きさの割球を生じます。第1卵割は垂直方向、すなわち動植物軸に沿った方向に起こります(経割)。続く第2卵割も動植物軸に沿った経割で、第1卵割面に直交する方向に起こり、4つの均等な大きさの割球を生じます。

第3卵割は動植物軸と直交する方向(緯割)で均等に起こり、等しい大きさの8つの割球を生じます。第4卵割では、動物極側の4つの割球は経割により8つの均等な大きさの中割球を生じます。それに対して植物極側では、4つの割球が極端に植物極側に偏って不等分裂するため、4つの大割球と4つの小割球を生じます。この小割球が極めて重要で、自身は自律的に中胚葉性の一次間充織細胞(骨片形成細胞)へと分化しますが、それと同時に隣接する細胞に原腸(内胚葉)を形成させる誘導能をもっているのです詳しくはこちら)。

第5卵割では、動物極側の8つの中割球は緯割により上下に8個ずつの割球の層(an1an2)を生じます。植物極側の大割球は、経割により8個の割球の層となります。そして、4つの小割球はさらに不等割を起こして4つの大小割球と4つの小小割球に分かれます。大小割球が一次間充織細胞になり、小小割球は将来の生殖細胞になっていきます。小小割球はここで分裂をしばらく停止するので、次の第6卵割で60細胞になります。この頃から、胚の中央部に卵割腔とよばれる腔所が形成され、この時期の胚を桑実胚といいます。

第6卵割では、大割球に由来する細胞が緯割により上下に8個ずつの割球の層(veg1veg2)に分かれます。その後、an1an2からは外胚葉が形成され、veg1からは肛門付近の一部の外胚葉や原腸の一部(内胚葉)、veg2は残りの原腸(内胚葉)と二次間充織細胞(中胚葉)、大小割球由来細胞からは一次間充織細胞(中胚葉)が形成されます。そして、小小割球由来細胞は、将来の生殖細胞になります。