iPadの視覚障害教育での実践例
理科の観察(物理:電流と磁界)
- 実践者
- 北九州視覚特別支援学校
- 使用アプリ
- 内容
- MLでのコメント
カメラapp | 写真app |
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テーマ 「電流と磁界の実験」
今回は、そのカメラで撮影した写真を基に実験結果をスケッチさせることにしました。ここのところ写真に追記させる活動に重点をおいていましたが、スケッチにiPadで記録した画像を,写真アプリを用いて表示してスケッチする方法もかなり有効でした。
生徒は,写真アプリの画面を手慣れた様子で操作しながら、丁寧にワークシートに描き写していました。生徒達は、ずいぶんiPadの操作法に慣れ、今日も私から言われる前に「写真撮っとこう」と,自分からiPadを操作し始めました。ちなみにiPadは,授業時間中はいつでも使えるようにアームにマウントされています。ツールの一つとして,積極的に活用していけるスキルを身につけさせてやれたらと思っています。
スケッチは観察の際にはとても重要な活動と思います。スケッチすることにより,子どもが理解できている点,そうでない点を教師側が形成的に評価できますし,子どもにとっても,わかっている点やそうでない点をメタ認知できる活動であると私は考えています。
それで,このiPadで大きくして書き写すという活動はとても,このスケッチの活動を充実させるものだと感じました。
これは,何も,弱視の子どもだけでなく晴眼の子どもも同じだと思います。
#程度の差はありますが。
例えば,2000年ころ,情報教育が言われ始めたころ発表された事例を思い出します。そこでは,小学生に蟻をスケッチさせるということだったのですが,蟻をスケッチさせると,とんでもない蟻が出来上がる。しかし,デジカメで撮影してそれをパソコンに取り込んで大きくして観察して描かせると正確に描けるようになる。といったものです。今となっては大したことではないのですが,この中には,スケッチすることの重要性や観察の環境設定の重要性が示されていると思いました。ご実践を拝見して,そんな環境をかなり手軽に構築できる道具がiPadなのだなと思いました。ということは,美術の写生などにも使えそうですね!
私が,小学生の時に,図工の授業で「冬休みの思いで」絵を描いたことがあり,初詣の様子を私は描きました。その絵の中で,鳥居の全体外形と,鳥居の上の方に何かが掲げてあることは分かるのですが,何かは分からない。だから,想像で,作り出したイメージを,ぐじゅぐじゅって描いていたんですね。あるいは,神殿のこまごました柄も同様です。そこで,ショッキングなことを教師に言われた経験をしたことを思い出します。美術の教師に「何,手抜いてるの! ちゃんと描きなさい!」
当時,私は,困りました。しかし,iPadがあれば,例えば,校外学習の写真を撮ってきておけば,それを基に絵を描く際,大きな画面で,必要な個所ではピンチアウトして,心行くまで観察できると改めて思いました。このことは弱視者が自信を付けることにも大きく貢献しますよね。