動植物軸形成の分子機構
多くの動物では卵の動植物軸を細胞分化の起点としており、発生にともなう細胞分化を理解する上で動植物軸は最も重要な位置を占める。これまでの研究からウニでは動植物軸に沿った核bカテニンの濃度勾配が存在し、この濃度勾配形成にWntシグナル伝達系が関わることが明らかになってきた。
しかしながら、その勾配を作る最初の機構は全く明らかにされていない。この機構を解明することを目的として、動物極細胞と植物極細胞に局在するmRNAおよびタンパク質の同定を行っている。ウニ胚の発生は同調性が高く、発生のごく初期の16細胞期の胚の動物極細胞（中割球）と植物極細胞（小割球）は大きさが異なるため、サイズの違いを利用して生化学的な解析が可能な十分な量を集めることができる。動物極細胞と植物極細胞から抽出したタンパク質をそれぞれ２次元電気泳動により分離して特異的スポットの検出し、プロテオームによりアミノ酸配列の推測を試みている。
