ウニの形態形成機構の解析

Tb遺伝子

Tボックス転写因子は、マウスのT遺伝子産物およびその他の動物のbrachyury遺伝子産物から見つかったT-domainと呼ばれるDNA結合領域を有する。Tボックス転写因子は、brachyury、TbxおよびT-brainをサブファミリーとし、発生の様々な場面で重要なはたらきをする。アフリカツメガエルの内胚葉決定因子であるVegTやニワトリの前肢と後肢を決めるTbx4, Tbx5が有名である。

ウニでは、T-brain-1のホモログであるHpTbが、遊泳胞胚期の予定一次間充織細胞に現れる。HpTb陽性細胞は、胞胚腔に落ち込み一次間充織細胞なる。その後原腸胚期以後発現は減少していく。

HpTbの機能を調べる目的でモルフォリノアンチセンスオリゴを導入すると、明らかな原腸陥入の遅れが見られた。さらに、骨の形成と口側ム反口側軸の形成も阻害された。これらの結果から、HpTbは、原腸形成、骨形成および外胚葉の口側ム反口側軸の形成シグナルの小割球からの分泌に関与すると考えられる。

 

・Fuchikami et al., T-brain homologue (HpTb) is involved in the archenteron induction signals of micromere descendant cells in the sea urchin embryo. Development (2002) doi: 10.1242/dev.129.22.5205.