Otx遺伝子
Otx遺伝子は最初ショウジョウバエのギャップ遺伝子orthodenticle (otd)としてクローニングされた。遺伝子はホメオドメイン転写因子をコードしている。その後マウスでもホモログOtx1とOtx2がクローニングされ、ノックアウトマウスでは頭部が欠失することから、種を越えて頭部形成にかかわる遺伝子と考えられている。
ウニ胚では2つのタイプのOtxが発現しており、未受精卵から胞胚期まで発現する初期型HpOtxEと胞胚期から発現が開始される後期型HpOtxLがある。両タイプはN末端領域が異なるが、どちらも単一の遺伝子から転写開始点とスプライシングパターンを変えることにより合成される。この転写のスイッチング機構については現在解析中である。
原腸陥入が終了して口ができる頃になるとHpOtxLの発現は原腸と口側外胚葉に集中する。口のある方が体の前方を意味するので、ウニ胚においても幼生の発生後期ではOtxが身体の前方で発現していることになる。しかしウニには頭がないので、Otxは頭に限らず胚の前端部分の形成に関与するのではないかと考えられる。