島を継ぐもの。

6月4日に三原市の小佐木島にて、建築学会の集落居住小委員会の公開研究会「むらを住み継ぐカタチ」を開催しました。今回は、小佐木島での集落活動を支援している、公益財団法人ポエック里海財団との共催となりました。

人口減少が続く地方において、いかに地域は持続しうるのか?という課題に取組む先進地を訪問してお話を伺ってきているわけですが、シリーズ7回目となる今回は自分がホストということで、これまでとは違った意味を持つ研究会でした。

まだまだ道半ばではありますが、前任校時代から継続的に取り組んでいるプロジェクトを紹介する機会を持てたことは、とても嬉しく思います。参加していただいた皆様、ありがとうございました。

小佐木島の公民館を会場に、北は北海道、南は震災後間もない熊本からも参加していただきました。

冒頭、兵庫県立大学の山崎義人氏より、これまでの小委員会での研究会について、各地の取り組みを紹介していただきました。

研究会の話題提供として、瀬戸内海各地で里海文化の再生に取り組む現代美術作家の柳幸典氏からは、瀬戸内海で芸術活動を行うことになった背景やこれまでの取り組みについて、ポエック里海財団の野口孝志理事からは財団設立の経緯やこれまでの財団の活動について、そして百島でアートベース百島を拠点に活動する大橋実咲氏には、百島でのアートを媒介とした地域の活性化に向けた活動についてご紹介頂きました。

その後のディスカッションでは、ポエック里海財団の理事であるとともにポエック株式会社の代表取締役でいらっしゃる采女信二郎副社長より、企業としての地域支援活動の意義や課題について、経営者としてのお考えをお聞きしたほか、同じく財団理事の山本公平広島経済大学教授には、里海再生を目的に掲げた公益財団の設立過程についてお話を伺い、今後の同様の展開に向けた可能性について議論しました。

現実問題としては、初めて島を訪れて以来、島の人口はずいぶん減少し、まだまだこれからが本番でもあります。

今回参加していただいた皆様には、今後も引き続き瀬戸内海の島々での取り組みを見守っていただければと思います。

謝辞
今回の研究会の開催に際し、小佐木区のみなさんには、さまざまなご協力いただきました。公益財団法人ポエック里海財団ならびに財団のみなさまにも、共催者として多大なご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
また、この研究会は、広島大学地(知)の拠点(COC)プログラムによる地域志向研究の成果を地域に還元する機会としても開催されました。

追記

住み継がれる集落をつくる(表紙)
住み継がれる集落をつくる

今回の研究で共有された知見も含め、学芸出版から出版された「住み継がれる集落をつくる: 交流・移住・通いで生き抜く地域」にまとめられています。ご参考まで。