沖縄調査
沖縄県石川・宜野座漁協における中核的漁業者協業体の取組事例とその評価
近畿大学COE博士研究員　鳥居享司
nk_torii＠nara.kindai.ac.jp
1．はじめに    2．地域漁業の概要    3．「石川・宜野座定置網協会」の結成の背景と活動目標     4．「協業体」の組織概要
5．協業体での活動内容とその成果    6．当事例の評価    7．事例研究を通じてみた協業体事業の課題


1．はじめに
　本稿はこれまで実施されてきた中核的漁業者協業体の取り組み事例の中から，沖縄県石川市（現・うるま市）と宜野座村において定置網漁業者3経営体の組織する協業体「石川・宜野座定置網協会」を取りあげる（図1）。中核的漁業者協業体の取り組み事例の大半が同一漁協に所属する漁業者の組織する協業体であるが，当協業体は石川市漁協と宜野座村漁協といった異なる漁協に属する定置網漁業者が協業化する事例である。 以下では対象事例について，中核的漁業者協業体取組支援事業（以下，協業体事業）の導入背景，事業への参加組織の概要，事業の計画・実施状況および効果などを明らかにしながら本事業の有効性等について考えてみたい。