離散時間摩擦(塑性)モデル

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 摩擦(正確に言うと「クーロン摩擦」)は,私たちの日常生活のいたるところに存在します.手と道具の間にも,足と地面の間にも,機械の中にも,どんなところにも摩擦があります.

 クーロン摩擦は速度と反対方向の摩擦力を発生しますが,このとき,速度と摩擦力の関係はゼロ速度の前後で不連続です.この不連続性ゆえに,「静止摩擦」というものが実現します.たとえば机が多少かたむいていても,机の上の物が滑り落ちずに静止した状態(ゼロ速度)を保つことができます.速度と摩擦力の関係が連続であれば,机の少しの傾きやちょっとしたそよ風で,机の上の物がゆっくりと動き出してしまいます.

 速度と摩擦力の不連続な関係は,我々の日常生活では当たり前ですが,コンピュータによるシミュレーションやデジタル制御で人工的に作り出そうとすると,非常に面倒です.デジタル計算機の中では時間を離散的にしか扱えないので,ぴったりゼロ速度になる瞬間というのをプログラム上で扱いづらいからです.

 我々は,クーロン摩擦の不連続な摩擦特性を,シミュレーションやデジタル制御で人工的に作り出す簡単な計算手法を考案しました.従来のように,

・・・という面倒なプログラミングをする必要はもうありません.ゼロ速度交差に伴うチャタリングや,速度閾値によるドリフトも生じません.

 コンピュータグラフィックス,コンピュータゲーム,バーチャルリアリティ,ヒューマンインターフェース機器の制御などのために有用です.


Stick-Slip現象のシミュレーション.

提案した摩擦モデルを発展させて作った注射シミュレータ.力覚提示装置を介して,針と皮膚の間の摩擦力を提示します.

離散時間摩擦(塑性)モデルの資料集

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