『母なる証明』 を観ました。 昨年シネコンで上映された時は見逃してしまったのですが、今回シネツイン新天地で1週間限定で上映されると知り、急いで観に行きました。 上映前、時間つぶしで入った本屋さんで立ち読みした 『キネマ旬報』 で、意外で衝撃的な展開であることだけは知ったのですが、本当に意外な展開の映画でした。 確かに衝撃的でもありました。 『母なる証明』 って、深いタイトルだなぁ。 女子高生殺人事件の容疑者として逮捕された息子の無実を信じて、真犯人を探し続ける母、息子のことを案じ、将来を危惧して無理心中を図ったことで心に深い傷を抱いている母、そして事件の真相を知り、それでも息子のことをかばおうと自身も殺人を犯してしまう母。 1人の母のいろいろな面が描かれていました。 とは言え、共通しているのは、ただひたすらに息子のことを思い続ける母の姿でした。 最後に、母が殺した廃品回収業者の家で見つけた母の鍼道具を、息子が 「大事なものをなくしちゃダメじゃないか」 と母に渡す場面があったのですが、息子はどこまで気づいているんだろう…。 まったく気づいていないのか、少しはおかしいと思っているのか。 まったく気づいていないのであれば、友達にそのことをうっかり話してしまう危険性もあり、少しは気づいているのであれば、母の犯行を知っていることになり…と、いずれにしてもすごく危うい状況なんですよね。 どちらかわからない状態で終わらせるのが、なかなかうまいなぁ…。 とここまで書いて思ったのですが、息子が逮捕された女子高生殺人事件の真相も、母が訪ねた廃品回収業者が 「彼が殺すのを見た」 という証言だけで、果たしてそれが正しいのかどうかも謎なのです。 廃品回収業者が、母を見て 「あ、あいつの母親だ」 と気づいてそう言ったのであれば、実は自分の犯行だと隠すための虚言とも取れるし、気づかず言ったのであれば、やはり息子の犯行になるし。 …映画を観終わった後にも、いろいろ考えさせてくれる映画だなぁ。 なんとなく暗い気持にもなるのですが、観て良かった映画であることは確かです。 ウォンビンの演技も良かった。 あの無垢な小鹿のような目が良かった。 他の映画を観たことはないのですが (先日録画した 『ブラザーフッド』 を早く観なくては!)、「この人、演技派だな」 と思いました。 あの目の演技は良かったと思います (評論家か!>自分)。
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