昨夜、一気に 『悪人』 を読んでしまいました。 最後の方は泣きながら読みました。 小説 (フィクション) だからそう感じるのだと思いますが、石橋佳乃を殺した清水祐一は、殺人犯ではあるけれど悪人ではない、と思いました。 真の悪人は、石橋佳乃が殺されるきっかけを作った増尾圭吾だと思う。 こいつは本当に悪人です、性根が腐っています。 だから、佳乃の父親が増尾を殺そうと思ったのも、仕方がないことだと思います。 一番の悪人は、こいつ。 小説の最後で、ずっと一緒に逃亡を続けていた馬込光代の首を祐一が絞めようとするのですが、警察がすぐそこまで迫っていることもわかっていたし (光代がすぐに助け出されることも)、自分が逮捕された後、光代が 「一緒に逃げていた」 のではなく 「無理矢理連れ回されていた」 という印象を与えるための行動だったんですよね、きっと。 そうすれば、自分が逮捕された後、光代が周囲から後ろ指を指されることがなくなるので…。 光代もその気持ちはきっとわかっているんだろうけど、祐一のことを悪人だと思い込もうと自分に言い聞かせているところが、とても切なかったです。 佳乃のお父さんの気持ちも切なかったし、祐一のおばあちゃん、親戚の人たちの気持ちも切なかった。 後半はその切なさに胸が締め付けられて、苦しかったです。
ちくわのエピソードはなくても良かったかな、って気がしています。
3時間近く、ずっと九州弁 (福岡、佐賀、長崎辺りの) のセリフばかり読んでいたので、語尾に 「〜なか」 とか 「〜と」 をつけて喋りたくて仕方がありません。 朝、支度をしながら 「切ない」 ということを 「切なか」 と口にしたくなったのですが、これは方言的に正しいのでしょうか? げに、切なか小説だったとよ。 … あ、「げに」 は広島弁?
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