本装置にはNanoSolverが付属しており利用できます。
NanoSolverは、小角X線散乱(SAXS)による粒径分布解析用ソフトウェアです。
主としてナノ粒子(数nm〜数十nm)の粒子が分散した系において、その粒径分布を得るためのソフトウェアです。
NanoSolverについて概要と利用法を以下に記載します。不正確な部分もあるかもしれませんが、利用の検討の際のご参考まで。
<NanoSolver概要>
- 4〜5のパラメータ(粒径、分布の分散、充填率etc)でシミュレートした 散乱データと、バックグラウンド(空気散乱等)を引いた実験データとを Fittingすることで、粒径分布を得る。
- モデル(粒子形状や構成原子)に依存した散乱データの非線形Fitting。
- Fittingが上手く収束するかどうかは初期値に依存する。
- まともな結果を得るには、Fitting(精密化・Refine)の初期値が重要であり、他の実験データ(TEMなど)による粒径の平均値だとかの情報を初期値として使うことが望ましい。
- Fittingできたからといって正しい分布とは限らない。粒径平均値が異なっていても、その他のパラメータ(分散等)で実験データをFittingできてしまうことはある。
<使用方法について>
- ソフトを起動した後の左側のフローバーに従って入力
- 測定生データを読み込む(デモデータは、Documents 以下にある)
- ブランクデータ(空気散乱、バックグラウンド)除去
- 基本的には粒径分布を出そうとしている微粒子だけを除いた同一試料を同一時間撮影したデータをバックグラウンドとして選択する。その場合基本的に係数は1.00。
- 透過撮影でブランクデータとして試料無しの空気散乱を利用する場合、係数にはX線透過測定での吸収率を入力する。
- (スリット情報の編集(ラインフォーカスの場合に対する補正が目的))
- カメラ長、スリット間の距離などを装置によって自動選択、or手動入力
- NanoViewerではスリット情報編集(スリット1st位置等)は無視して良い (ポイントフォーカスの線源なので)
- 粒径・空孔径解析(Particle Analyzer、フローバー上から4つめ)
- 反射測定なのか透過測定なのか、試料情報(散乱体モデル(形状))、マトリックスの種類などの情報を入力
- ダイアログ下部に5つのパラメータがある。
- 精密化をチェックしたものだけがFitting変数となる。
- ここの初期値をいろいろと変更して、画面上の生データとシミュレーションデータがある程度一致するように調整してから<Refine 精密化>を実行する。
- 平均サイズなどは、TEMなどの結果を用いるのがベスト
- 充填率を上げると、粒子間相関による凸凹ピークが現れる。
- スケール因子(scale factor)は、縦軸(強度)を合わせるためのパラメータ