ネタばれがありますので、これからご覧になる予定のある方は読まないでください。
『ユナイテッド93』、2001.9.11 に犠牲になった飛行機のうち、唯一目標に到達しなかった飛行機について描かれた映画です。 映画が始まってまず驚いたのが、テロリストがホテル (たぶん) で支度をするところから飛行機に乗るまでが描かれているということ。 最初の数分はテロリスト目線で描かれています。 本当に驚いた。 そして乗客乗員が乗り込んでからしばらくは管制センターや軍の何かのセンターの映像が続く。 アメリカン11便がハイジャックされたと思われる声を傍受したことで混乱が起こり、ハイジャック犯の声と思われるテープを分析して "some planes" という声が聞き取れて (複数ハイジャックされたことに) 更に混乱が広がる。 徐々にハイジャックされたと思われる飛行機が増えてきて、更に世界貿易センターに飛行機が突っ込む場面に絶句。 結末を知っていてもすごくドキドキする。 いろんな場所の管制センターや軍のセンターに画面が切り替わるので観ている方も精神的に混乱してきて何が何やらわからなくなるのですが、それが余計に緊張感を高めている感じがしました。 そしてユナイテッド93もハイジャックされてしまうわけですが、なんかそこからはずっと涙が出ていた気がします。 機内から家族に電話をして、世界貿易センターに2機突っ込んだことを知り絶望するもののハイジャック犯に立ち向かおうとする勇気。 飛行機から家族に電話する人の最後の言葉がみんな "I love you"、"Good bye"。 書いていてもちょっとうるうるくるぐらい切ないシーンでした。 帰りに運転しながら気づいたのですが、ハイジャック犯が空港でかける電話も最後の言葉が "I love you" (そのお国の言葉で) でした。 どちらも最後は同じ言葉、でも立場は正反対。 大切な人を思う気持ちは誰も同じなのに、どうしてこんなことになってしまうんだろう。 すべての結末を知っているのに、乗客がハイジャック犯に立ち向かいコックピットで操縦桿を奪い返した時は心の中ですごく応援してしまいました。 でもその直後に飛行機は墜落、そして後はテロップでユナイテッド93だけが唯一目標に到達できなかったことが流れました。 あぁ、せめてもう少し墜落まで時間があって、胴体着陸に持ち込めたら助かる命もあったんじゃないか…と考えても仕方のないことをあれこれ考えてしまいました。 あー、書いていてもうるうるきてやばいなぁ。 感想を書こうと思ったのですが、この映画については何を言っても上っ面だけの言葉になってしまいそうな気がするし、観終わってからも気持ちがずっと混乱していて感想なんか語れない。 ノンフィクションであり、ほぼドキュメンタリーのような映画でした。 エンドロールでキャストの名前が流れる時、管制センターや軍のセンター (たぶん) のところには数名 "AS HIMSELF" (本人が演じている) の文字があったのですが、乗員乗客のところには当然 "AS HIMSELF" も "AS HERSELF" もないのです。 それが余計に悲しみを誘いました。 あー、なんかやっぱり涙が出てきてダメだ。 テロに屈せず立ち向かった人たちの強さに本当に心を打たれました。 チープすぎる言葉だけど、今はそれぐらいしか言えないな。
上映前に 『ワールドトレードセンター』 の予告編が流れてちょっと観たいなと思ったのですが、有名な役者 (ニコラス・ケイジ) が出ているような映画だし、今回の 『ユナイテッド93』 とは違い、純粋に娯楽としての映画のような気がします。 だからどうってことでもないのですが。
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