伊坂幸太郎さんの 『モダンタイムス』 を読みました。 ネタバレがあるかも、です。
日曜日に読み始めた時は、「…あれ? なんかあんまりおもしろくないなー」 と思ったのですが、途中からだんだんおもしろくなってきて、月曜日の夜は読むのを中断するのが嫌になるくらいでした。 そして、ようやく昨夜読み終えました。 最初、ものすごく恐ろしかった人たちが、途中からものすごく魅力的になってきて、最後の方では 「この人たちが、この作品の登場人物の中では一番好きかも」 と思ってしまうくらい。 なんとも不思議な感じです。 ホント、最初の頃は 「ぎょえー、こわすぎー、こんな人たち、絶対に嫌だー」 と思っていたのですが、最後の頃はその場にいたら抱きしめたいくらいの感情を抱いてました。 主人公の奥さんの佳代子の豹変ぶりはすごかった。 内面的なものは全然変わってないと思うのですが、なんというか愛らしくなるんですよ、ものすごく。 読みながら、内心 「あまりにもひどく書きすぎたので、ご自分の奥様からクレームが出たのでは?」 と思ってしまうくらいの豹変ぶりでした。 暴力を振るうことを生業としている岡本猛も、途中から本当に可愛かったですよ。 「馴染みのキャバクラ嬢だよ」 のくだりがかなり好きでした。 乙女チックな会話の後に 「オッケー」 と出て行くところとか、ラブリーでした、本当に。 途中、黒乙一を彷彿とさせるような暴力シーンがあって、そこは本当に怖かった。 ドキドキしながら読みました。 岡本猛が本当にすごかった。 彼は人間じゃあないな、絶対。 そうそう、舞台が近未来ってことで、「佳代子と岡本猛は、実はサイボーグなんじゃないか?」 と思いながら読んでしまいました。 本当に最強です、この2人は。 そして、ラブリー。 あと、なんとなく京極堂シリーズを彷彿とさせるようなシーンも何度かありましたね。 なんとも不思議な感覚がしました。 終わり方もスマートで良かった。 気持ちがすっきりしました。
ところで、途中 「あれ? これって前にどこかで読んだことがあるような…」 と感じる記述があったのですが、『モダンタイムス』 って 『魔王』 の続編だったんですね。 続編と言うより、伊坂幸太郎作品特有のリンクと言った方が正しいような気もしますが。 以前 『魔王』 を読んだ時、「これって、続編がありそうな気がする」 と思ったのですが、まさかこんな形で続くとは思いませんでした。 …続編ってことは、詩織ちゃんって………!!!!! あの詩織ちゃんが、今回の詩織ちゃん!? うわーうわーうわー、そうかー、そうだったのかー。 そうかー、詩織ちゃんだったのかー。 そうかー、ずっと詩織ちゃんは詩織ちゃんのままだったんだなー。 そう考えると、感慨深いものがあります。 詩織ちゃんが出てくる場面をもう一度読み返そう。 そして、もう一度 『魔王』 を読み直そう。
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